新型コロナの重症化とは?お子さんへのワクチン接種で、どれくらい防げる?(2022年11月28日執筆)

最終更新日: 2022年12月19日 by syounikaonline

新型コロナの流行当初、小児への新型コロナワクチンに対して、日本小児科学会は「接種する意義がある」という表現にとどめていました。しかし2022年9月以後は「接種を推奨する」という表現に変更されました。

その理由の1つが、特にオミクロン株流行以後、「新型コロナに感染・発症したお子さんのうち、重症化する例が報告されてきたから」です。

重症化とは、そもそもどんな症状なのか。どれくらいのお子さんが重症化するのか。ワクチンで防げるのか。現時点での科学的な情報をもとに解説します。

95%は軽症ですが、一部で肺炎・脳症・心筋炎などが報告されています

お子さんが新型コロナに感染し、発症した場合でも、95%以上の症例は軽症と言われています。 

ただしオミクロン株流行期における感染者のお子さんは、発熱の頻度がより高く、また熱性けいれんの報告数も多いとされています。

他にもクループ症候群や肺炎、小児多系統炎症性症候群、脳症、心筋炎なども報告され、2022年1月から8月までに300例以上の中等症・重症例が報告されました。

とくに2歳未満(0~1歳)や、心臓などに基礎疾患を抱えるお子さんにおいて、重症化リスクが増大するといわれます。

基礎疾患がないお子さんの死亡例も

感染者数の増加にともなって、お子さんの死亡例も報告されました。

オミクロン株流行前は、日本国内における新型コロナ感染による死亡の例は、10 歳未満は0例、10 歳代は3例でした。

しかしオミクロン株流行後は少なくとも29例の死亡例が報告されており、年齢別には、0歳が8例、1〜4歳が6例、5〜11歳が12例、12〜19歳が3例です。なお男児55%・女児45%で、基礎疾患あり48%・なし52%という内訳でした。

ワクチンは、重症化を防ぐ効果あり

では実際、お子さんの新型コロナワクチンは、どれほどの効果があるのでしょうか。

12歳以上の2回接種後、「入院予防効果」は、12~15歳で92%、5〜11歳では68%と言われます。
特に5〜11歳における、小児多系統炎症性症候群の発症は90%防げるという報告もあります。

生後6ヶ月〜5歳未満におけるデータは今後の知見が待たれますが、そもそも発症を予防する効果は70%以上あると言われています。

ワクチンを接種することによって、「感染」は完全に防げなくとも、発症したり入院したり重症化したりする可能性は下げうるということですね。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの予防接種に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。(本ジャーナルは2022年11月28日に執筆しました。以降の情報は反映できておりませんのでご了承ください。)

(小児科医 白井沙良子

参考文献

日本小児科学会
生後 6 か月以上 5 歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
5~17 歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

SNSでシェア