スギ・ダニアレルギーの舌下免疫療法ってどんな治療?

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

花粉症やアレルギー鼻炎の症状がアレルギーの飲み薬や点鼻薬でよくならない場合、舌下免疫療法というアレルギーを根本的によくする治療があります。

今回はスギ花粉とダニアレルギーの舌下免疫療法についてお伝えします。

数年間、毎日薬を飲む必要があります

アレルギーの舌下免疫療法とは、原因となるアレルギーの成分が少しだけ入った薬を毎日飲み続けることで体を慣らしていき、原因のアレルゲンに対する症状を和らげたり、出なくする治療です。

現在保険適応の舌下免疫療法には、スギ花粉症に対するものとダニアレルギー(鼻炎)に対するものがあります。どちらも5歳以上が対象になります。

舌下免疫療法のトレーニングを受けた医師のもとで治療が受けられます(内科、小児科、耳鼻科など)。開始後は月に1回程度の通院が必要になります。

治療を開始すると数か月~半年以降から効果が現れますが、数年単位で治療を継続することが勧められています。

スギの舌下免疫療法は、花粉シーズンが終わってから始めましょう

スギ花粉が飛散するシーズンはアレルギー症状が強く出る可能性があるので、花粉シーズンが終わった後に舌下免疫療法を開始します。

シダキュアⓇという錠剤1錠を舌の下に置いて、1分間保持した後、飲み込みます。その後5分間はうがいや飲食は控えましょう。
飲んだ後30分間は、アレルギー症状が出ないか観察します。
その後も2時間は激しい運動や入浴はさけるようにしましょう。

初回は医療機関で実施し、2回目以降は自宅で毎日同じ方法で1錠飲みます。最初の1週間で問題がなければ、2週間目からアレルゲンを多く含む錠剤に変更して継続します。

ダニの舌下免疫療法には、2種類の薬があります

ダニ舌下免疫療法はいつ始めてもよいですが、スギ花粉症を合併している場合はスギ花粉の飛散期は避ける必要があります。

ミティキュアⓇ、アシテアⓇという2種類の薬があります。ミティキュアⓇの飲み方、増量方法はシダキュアⓇと同じです。

アシテアⓇは錠剤を舌の下に置いて完全に溶けてから飲み込むことと、3日間で少しずつ増量し、4日目から同じ量で継続する、という点がミティキュアⓇと異なります。
またアシテアⓇに含まれるダニ抗原の量はミティキュアⓇより多くなっています。抗原量が多いからといって効果が高いのかどうかはわかっていません。

抗原量が多いアシテアⓇの方が口の中の副作用が多いとも言われていますので、どちらを使うかは医師とよく相談しましょう。

舌下免疫療法では、アレルギーの原因となる物質を体に取り込むので、アレルギー症状の出るリスクを伴います。

口の中の腫れ、かゆみや違和感、のどのイガイガや耳のかゆみなど、軽いものが多く、最初の1か月程度で出なくなっていきます。しかし、まれですが全身のじんましんやアナフィラキシーという重症のアレルギー反応を起こすこともあります。
また、スギと比べダニの舌下免疫療法の方が副作用が多いことがわかっています。

まずは症状や治療の経過、アレルギー検査などをふまえて舌下免疫療法を行うべきか、医療機関でよく相談し、治療方法や注意点をよく知った上で治療をうけましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

SNSでシェア