母乳育児Q&A(4)乳腺炎の正しい知識〜ケーキと乳腺炎は関係ありません〜

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

書いた人

太田 みのり

小児科医

 

母乳を少しでもあげているお母さんなら、いつでも経験する可能性のある乳腺炎。今回は乳腺炎の原因、予防、対処法をお伝えします。

<原因>乳房内に母乳が残っていると乳腺炎になる

乳腺炎の主な原因は「乳汁(母乳)のうっ滞と感染」です。乳房内に残った乳汁が炎症を引き起こし乳腺炎となります。乳汁うっ滞は母乳を赤ちゃんが十分量飲みとれない、授乳間隔があく、急に授乳をやめたときなどに起こるとされています。また、胸をきつい下着やだっこひもで締め付けることでも起こります。

特に、乳首にキズがあると乳腺炎の頻度が増加します。貯留した母乳中で細菌が増殖することがあり、その場合はきちんと抗菌薬を内服することが大切です。

<治療>乳腺炎はマッサージするだけではなかなか治りません

乳腺炎になるとマッサージを受けるお母さんが多いと思いますが、前述の通り乳腺炎は「炎症」であり、治療が必要です。そして体を休めましょう。風邪をひいたときは誰でも体を休めると思いますが、乳腺炎も同様なのです。また、乳汁うっ滞が原因なので、授乳はやめずに続けましょう。痛みが強くて直接授乳できない時は搾乳をしましょう。痛みに対しては消炎鎮痛薬(ロキソニンなど)が効果的です。感染を併発しているときは抗菌薬を飲みましょう。これらの薬は内服しながら授乳することができます。適切な治療を行えば24時間以内に改善することが多いです。

<予防>ケーキや油っぽいものを食べると乳腺炎になる、は間違い

ちまたで「ケーキを食べると乳腺炎になる」という噂を聞きますが、それは間違いです。食べたものが直接母乳に移行することはありませんし、食べた脂肪が原因で乳管が詰まることもありません。乳腺炎を予防するには「乳汁うっ滞を起こさない」ことです。回数や時間を制限せずに授乳しましょう。また、おっぱいの張りが強かったり痛みが強いときは搾乳を行うことで改善することがあります。乳腺炎の兆しがみられたら、お母さんは休息を取りつつ、授乳回数を増やしましょう。お母さんのストレスや疲労も乳腺炎のリスクと言われています。家族にサポートをお願いしましょう。

 

 

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(小児科医 太田みのり

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