「溶連菌感染症」と「溶連菌の検査陽性」は別のものー溶連菌の保菌を解説

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

熱はなく元気だけど、周りで流行しているからと溶連菌の検査をしたら陽性で、保育園に通園できなくなった。こんなことはありませんか。今日は溶連菌の「保菌」について簡単にまとめました。

溶連菌は主にのどに感染します

溶連菌感染症は、冬および春から夏にかけて多い感染症で、小児、成人にかかわらずさまざまな症状で発症します。特にのどに感染すると(咽頭炎)、熱が出て、のどは真っ赤に腫れて激しく痛みます。

溶連菌の咽頭炎については「時に流行する溶連菌!症状や治療は??」もぜひお読みください。

のどに菌を持っていても「溶連菌感染症」とは限りません

過去の研究で、日本の学校で子どもののどにいる菌をしっかり調べたところ(培養検査)、15-30%がのどに溶連菌は持っているけど特に症状を起こしていない「保菌」者であることがわかりました。保育園の場合は10-20%が保菌者でした。また、ただの保菌者から他の人に感染する報告はまれといわれており、仮にただの保菌者から感染しても感染力は弱く、菌がいる期間は短いです。しかし迅速検査で溶連菌がのどにいるかいないかだけを調べると、検査結果は陽性(=溶連菌がのどにいる)と出てしまうので、本当に感染しているかどうかにかかわらず溶連菌の報告数は増えており、不要な抗菌薬治療が増えています。

あきらかに保菌とわかる場合は抗菌薬を使用しないこともあります

溶連菌咽頭炎の診断は症状(発熱、のどの痛み)、診察所見(のどの赤さ、咳がないこと、首のリンパ節の腫れ、発疹など)をメインに総合的に評価します。あきらかに元気で熱もなく検査陽性をくり返している場合は、溶連菌をただのどに持っている、保菌の可能性がありますので、一度その可能性についてかかりつけの先生にも確認してみてください。検査が陽性でも抗菌薬を使用しない場合があります。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

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(小児科医 大谷勇紀

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