最終更新日: 2024年8月30日 by syounikaonline
赤ちゃんの突然死は、毎年一定数報告されています。その中でも、乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome: SIDS)は、様々な検査や解剖などでも原因がわからない突然死です。いまだ、確実に予防できる方法はわかっていませんが、子育てをする上で気をつけた方がいいことが、少しずつ解明されてきています。例えば、うつぶせ寝が危険であることはご存知の方も多いのではないでしょうか。
しかし、同時に
「勝手に寝返りするのに、いつもあおむけにするのは難しい。」
「何歳まであおむけで寝かせるの?」
などの疑問を感じたこともあるのではないでしょうか。
このようなちょっとした疑問を踏まえながら、今日からできる3つの予防法をご紹介します。
(1) あおむけで寝かせましょう
あおむけ(背中を下)は、赤ちゃんにとって最も安全な睡眠の姿勢です。特に、首がすわっていなかったり、ひとりで寝返りができない生後6か月未満の赤ちゃんは、あおむけで寝かせるようにしましょう。
ただ、寝返りが始まると、寝ている間ずっとあおむけにするのは難しいですよね。米国が推奨するSafe to Sleepキャンペーンでは、「お子さんが自分で背中からうつ伏せ、うつ伏せから背中へと寝返りできるようになったら、寝かしつけるときだけあおむけにし、寝返りをうつたびにあおむけに戻す必要はない」としています。
また、あおむけで寝かせる期間は、乳幼児突然死症候群(SIDS)が起こりやすい年齢である1歳未満までがひとまずの目標です。しかし、報告では1歳以上の発症もあるため、継続できるとよいでしょう。実際のところ、1歳頃には、生活のリズムが出来上がってきて、寝る環境、姿勢、タイミングなどが、大きく変わることは少ないようです。
(2) なるべく母乳で育てましょう
母乳で育てた赤ちゃんは、「完全に人工乳だけ」で育てた赤ちゃんより、乳幼児突然死症候群(SIDS)を起こしにくいことがわかっています。
解釈として大事な点ですが、人工乳を使用してはいけないということではありません。母乳の量は、お母さんによって大変個人差があります。栄養に関して一番大事なことは、赤ちゃんがお腹いっぱいになることですので、必要に応じて人工乳も使用してくださいね。
ちなみに、夜など添い寝をしながら哺乳させる”添い乳”は少し注意が必要です。同じベッドや布団で寝る”添い寝”も乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクですので、添い乳が終わったら、赤ちゃんをベビーベッドなどに移して寝かせてあげてください。しかしながら、お母さんは大変お疲れなので、添い乳しているといつの間にか寝てしまいますよね。そんなときは、ベッドの上の布団や枕など柔らかいものを置かずに添い乳してください。そして気付き次第、赤ちゃんをベビーベッドに移してくださいね。
(3) タバコとお酒はやめましょう
妊娠中にお母さんがタバコを吸うことも、副流煙を吸うことも、赤ちゃんが副流煙を吸ってしまうことも、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率を上げてしまいます。妊娠中の飲酒も同様です。乳幼児突然死症候群(SIDS)に限らず、様々な健康被害をもたらすことが知られています。
喫煙や飲酒は、ストレスがきっかけとなります。妊娠、育児は、わからないことだらけで、とてもとてもストレスが溜まります。小さな疑問でも、小児科オンラインや出産された病院、自治体の窓口などに相談することがストレスの軽減に役立つのではないかと思います。どんな小さな疑問でも、お気軽にご相談くださいね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
小児科オンラインはこれからもお子さんの救急に関する情報を発信していきます。
(小児科医 利根川尚也)