最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
哺乳瓶は赤ちゃんの口に直接触れ、中身のミルクや搾乳は体に吸収されていきます。保護者の方にとって、哺乳瓶を消毒していれば安心のようですが、逆に『消毒はいつまで必要ですか?』と健診で聞かれることもしばしば。果たして何が正解でしょうか?
消毒不要の目安は、赤ちゃんが自分の手や指を舐めるようになってきたら
「生後何ヶ月まで消毒してください」といった明確な基準があると安心される方も多いのですが、赤ちゃんにはとても個人差があります。出生の状況も、成熟の具合も、発達の進み具合も様々ですからね。
消毒を終了する目安は、自分の手や指を赤ちゃんが好んで舐める、チュッチュするようになったらと思ってください(偶然チュッチュしたのではなく、普段からするようになったらです)。この時期には、手についた常在菌を口に入れ、免疫力を高め始めています。
ただし、これは日本のように上下水道が整備されているところで哺乳瓶を扱う場合の目安です。上下水道の整備が不十分な国・地域ではこの限りではありません。
生まれてしばらくは、赤ちゃんに代わって細菌を殺すために、哺乳瓶を消毒しましょう
生まれて間もない赤ちゃんは、細菌(いわゆる”ばい菌”の一つ)に立ち向かう免疫力が未熟です。さらに、赤ちゃんの胃液はまだ酸が薄く、細菌を殺す力も未熟です。一方で、ミルクや母乳は栄養たっぷりなので、この栄養分を餌に細菌が繁殖し始めます。また、ミルクの温度は細菌にとって適温で増殖しやすいため、哺乳瓶の消毒が必要になります。
なお、粉ミルクの中にはサカザキ菌という、どこにでもいる菌が含まれている可能性があります。このサカザキ菌は熱に弱いので、70℃以上のお湯でミルクを作ることで殺菌できます。わざわざお湯で作ってから冷ますのはこのためです。
哺乳瓶の消毒は、一番やりやすい方法で大丈夫です
哺乳瓶の煮沸消毒、薬液消毒、電子レンジ消毒、どれも効果に違いはありません。保護者の方が一番やりやすい方法を選んでくださいね。
ちなみに、薬液につけた後はすすがなくても大丈夫。残った薬液がミルクや母乳中のタンパク質と反応して体に無害な成分に変わります。
役立ち情報はありましたでしょうか? 哺乳瓶消毒の手間から解放されて、育児のタスクを一つでも減らしたら、もっと育児が楽になりますよ。一緒に育児頑張りましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 梶原久美子)