食物アレルギーでも食べて大丈夫な食物や成分

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

食物アレルギーがある場合、正しい診断に基づいて原因となる食物を必要最小限の範囲で除去をして(食べないようにして)、アレルギー症状が出るのを防ぎます。しかし、原因食物が含まれていても除去が不要であったり、名前が似ているために紛らわしいものもあります。食物別にアレルギーがあっても食べて大丈夫とされているものを紹介します。

鶏卵アレルギーでも鶏肉や卵殻カルシウムは大丈夫

乳幼児期に最も頻度が多い鶏卵アレルギーですが、同じ鶏でも、卵と肉は別のタンパク質なので鶏肉は除去する必要はありません。また、鶏卵と魚卵も異なるものなので除去は不要です(ただし、魚卵アレルギーの可能性はあるので注意は必要です)。

また、食品成分表示にある「卵殻カルシウム」とは鶏卵の殻から作られたカルシウムです。焼成卵殻カルシウム(加熱した状態)でも未焼成卵殻カルシウム(加熱していない状態)でも、鶏卵のアレルゲンをほぼ含んでいないことがわかっており、鶏卵アレルギーがあっても除去する必要はありません。

乳アレルギーでも「乳酸〇〇」や乳化剤は大丈夫

名前が紛らわしいため誤解されやすいですが、「乳酸菌」「乳酸カルシウム」「乳酸ナトリウム」「乳化剤(一部を除く)」「カカオバター」「ココナッツミルク」などは牛乳とは異なる成分なので、乳アレルギーがあっても除去する必要はありません。

「乳糖」は牛乳が原材料ですが、糖分なので原則として除去不要です。しかし、微量の乳タンパク質が混ざっていることがあるので、非常に重症の乳アレルギーがある場合は除去が必要なこともあります。

牛肉については、牛乳と牛肉のアレルギーを合併していることがごくまれにありますが、非常にまれであるため、乳アレルギーがあっても原則として牛肉を除去する必要はありません。

小麦アレルギーでもしょうゆ、味噌、酢、麦茶は大丈夫

しょうゆは、原材料に小麦が使用されていますが、醸造の過程で反応性(アレルゲン性)は消失しているので、重症の小麦アレルギーでも食べられることが多いです。ただし、しょうゆは塩分の刺激で口周りが赤くなることがあり、アレルギー症状と誤解されることがあります。口周りにワセリンを塗ったり、つかないようにして食べてみて、口周りが赤くならなければアレルギー症状ではないと考えてよいでしょう。

穀物酢や味噌も、同様に小麦のタンパク質はほぼ含まれていないため、摂取可能なことが多いです。

小麦アレルギーがあると大麦など他の麦類とタンパク質が似ているため、注意が必要なことがありますが、麦茶は大麦が原材料でもタンパク質の含有量がごく微量のため原則除去は不要です。

大豆アレルギーでもしょうゆ・味噌・大豆油は大丈夫

大豆アレルギーがあってもしょうゆ、味噌は、小麦と同様に、発酵の過程で大豆のタンパク質の大部分がアミノ酸まで分解されているため、摂取可能なことが多いです。また、大豆油も精製されているため大豆アレルギーがあってもほとんどの人が摂取可能です。

魚アレルギーでもだしは大丈夫、ゴマアレルギーでもゴマ油は大丈夫

魚アレルギーがあっても、かつおだしやいりこだしはタンパク質を分解してアミノ酸を抽出したものなので、原則除去は不要です。

ゴマアレルギーがあっても、精製されたゴマ油は摂取可能であることが多いです。

食物アレルギーがあると食べられるものが制限され、日々の食事の準備が大変です。調味料は基本的には大丈夫なので、少しずつ試して、美味しく食べられるといいですね。また、加工品も食品成分表示を確認する際に上記の除去が不要な成分をぜひ参考にしてください。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

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