最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
おむつ替えや沐浴時などに、お子さんのおしりの割れ目の中やその近くに、見慣れない小さなくぼみを見つけたことはありますか?そのまま放置してよいのか、受診すべきか、悩まれる方もいらっしゃると思います。その際の対応に関してご説明します。
底が見えない、液体や膿が出るくぼみは要注意です
くぼみの名前は「仙尾部皮膚陥凹(せんびぶひふかんおう)」と呼びます。新生児の2~6%に認められるといわれています。ただのくぼみであることもありますが、神経の束である「脊髄(せきずい)」の病気が隠れていることがありますので、まずは小児科医に相談が必要です。
その上で、重要なポイントをお伝えします。
まずは、指でくぼみを広げて、くぼみに底があるかどうかを観察します。もし底が見えない場合や、くぼみから液体や膿がみられる場合は、脊髄が入っている脊柱管(せきちゅうかん)とつながっている可能性があります。皮膚側の菌が脊髄側に入り込んで感染症を起こす危険性があるため、すぐに受診をしましょう。
くぼみ+αの様子を確認しましょう
次に注意するのは、
・くぼみの直径が5㎜以上である
・くぼみが肛門から頭側に2.5㎝以上離れたところにある
・くぼみが複数個ある
・おしりの割れ目に変形や屈曲がある
・皮膚に隆起があったり部分的に毛が生えている
などの場合です。その場合は、潜在性二分脊椎(せんざいせいにぶんせきつい)という病気に伴う、脊髄の異常が存在するリスクが高まります。
脊髄の異常は、将来的に脊髄係留症候群(せきずいけいりゅうしょうこうぐん)を起こす可能性があります。この病気は、身体の成長や運動などに伴って脊髄が引き伸ばされ傷害されることで起き、下肢の歩行・感覚異常や排便排尿機能の障害に至ることがあります。
検査する場合は超音波や腰椎MRIを行います
医師に相談すると、まずくぼみの様子を診察し、必要と判断されれば、施設差がありますが、一般的には超音波検査(体格が大きくなると行えず生後1か月程度まで)や、腰椎MRI検査が行われ、脊髄の異常がないかを確認します。検査結果から脊髄の病気が疑われた場合には、脳神経外科と相談し、手術が必要かどうかを検討していきます。
お子さんのおしりの近くにくぼみを見つけたら程度の差はあれ、上記の項目に注意しつつ、一度小児科医の診察を受けましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
小児科オンラインはこれからもお子さんの皮膚、神経に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 竹田加奈子)
参考文献
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玉城善史郎.仙尾骨皮膚陥凹・ヘアカラーサイン.小児科診療 82(11): 1620-1622, 2019.