アトピー性皮膚炎の「モイゼルト軟膏」ってどんな薬?

最終更新日: 2024年4月3日 by syounikaonline

アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるぬり薬はステロイドプロトピック軟膏(タクロリムス)コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)に加えて、モイゼルト軟膏(ジファミラスト)が2022年6月から使えるようになりました。

その特徴と、他のぬり薬との違いについてお伝えします。

副作用が少なく、長期的に使いやすい薬です

モイゼルト軟膏はホスホジエステラーゼという物質をブロックして、皮膚の炎症を起こす物質を減らすことで、アトピー性皮膚炎の症状を改善する薬です。

ステロイド外用薬で起こる皮膚が薄くなる、多毛、酒さ様皮膚炎などの副作用がないのが特徴です。また、プロトピック軟膏のような皮膚がピリピリするなどの刺激感がありません。

色素沈着(皮膚が茶色くなる)、皮膚毛包炎、かゆみなどの副作用が起こる場合があります。感染症を起こしている部分には塗らないようにしましょう。

皮膚以外の全身に影響する副作用はありません。

フィンガーチップユニット(FTU)を目安に、たっぷりぬりましょう

モイゼルト軟膏は濃度が2種類(0.3%、1.0%)あり、2歳~14歳は皮膚の状態に応じてどちらも使え、15歳~70歳はモイゼルト軟膏1.0%を使います。

2歳未満や妊娠中の方は使えません。

ぬる量は他のぬり薬と同じようにフィンガーチップユニット(FTU)を参考にしましょう。モイゼルト軟膏は、1FTU(2.5cm=約0.35g)が大人の手のひら2枚分相当の面積を塗る際に必要な量です。

プロトピック軟膏やコレクチム軟膏と違い、1回にぬる量の制限はありません。

ステロイドを塗って湿疹をきれいにしたあと、ぶり返しを防ぐのに使います

モイゼルト軟膏の炎症を抑える強さは、ステロイド外用薬のようにランクなどでは示されていません。

動物実験ではリンデロンV(ストロングクラスのステロイド外用薬)より弱く、プロトピック軟膏より強いとされています。

よって、炎症を抑える強さはそれほど強くないので、軽めの湿疹に使うか、ステロイド外用薬でしっかりとかゆみや赤みを良くしてつるつるにした後、湿疹が再燃しないように良い状態を維持するため長期的に塗り続けるのに向いています。

 

プロトピック軟膏、コレクチム軟膏とどうやって使い分けるの?

プロトピック軟膏、コレクチム軟膏も同じような使い方をします。

現時点では、アトピー性皮膚炎のガイドラインに使い分け方法の記載はなく、効果を比較した研究もなく、決まった方法はありません。

皮膚の状態やこれまでの治療経過に応じて、使ってみた効果や副作用をみながら使い分けます。

例えば、プロトピック軟膏で、皮膚がピリピリしてしまう場合は、コレクチム軟膏やモイゼルト軟膏を使います。また、モイゼルト軟膏は使用量の上限がないので、体など広い範囲はモイゼルト軟膏にして、顔はコレクチム軟膏にするなどもできます。

その他、薬価や使用感などもふまえて患者さんごとにあったものを検討します。
使い分けについては今後、情報が増えていくことが期待されます。

アトピー性皮膚炎でお困りの場合は、皮膚科医やアレルギー専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

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