この動き、てんかん?ウエスト症候群とモロー反射の動きってどう違うの?

ウエスト症候群って重い病気って聞くけど、赤ちゃんでよく見られるピクツキやモロー反射とどう見分けたらよい?気になる動きがあるときに何をしたらよい?そんな疑問にお答えします。

ウエスト症候群の発作のパターンはいろいろあってわかりにくい

今回はてんかんのなかでもよく知られていて、ご相談を受けることが多い、ウエスト症候群の発作について解説します。

ウエスト症候群は点頭(てんとう)てんかんとも呼ばれますが、”点頭”とは頭が前屈する動きのことを言います。ウエスト症候群の発作時には、頭がカクンと前屈する動きが特徴的なため、点頭てんかんとも呼ばれています。

けれど実際には、頭の前屈が目立たないこともよくあります。典型的なウエスト症候群の発作は、手足を左右対称性に一瞬固くする(+頭を前屈)というものですが、例えばあくびやおかしな目の動き、顎の動き、口をとがらせるなどの動きも見られます。

短時間の間に繰り返す、刺激しても止まらない動きは要注意

では、どのような動きの時にウエスト症候群を疑ったらよいのでしょうか。ポイントは、単発ではなく同じ動きを繰り返すということです。2-10秒程度の短い動きを数秒ごとに何度も繰り返し、さらに抱っこやつねったりしても、同じ動きを繰り返すような場合は、ウエスト症候群の発作の可能性が高くなります。

一方、赤ちゃんでよく見られるモロー反射は、指を広げて腕を伸ばし、何かに抱きつくような動きが特徴的で、ウエスト症候群の発作と似ています。ただ、モロー反射は大きな音などのきっかけがあるのに対し、ウエスト症候群の発作は、きっかけがなく始まり、一度始まると繰り返すという点がポイントです。また、お子さんによって違いはあるものの、寝起きや寝入りに発作が起きやすいのも特徴です。

気になる動きは動画を撮って小児科に相談を

てんかんかなと思うと、動揺したり焦ってしまうと思いますが、全身のけいれんが長く続くことがなければ、救急車ですぐに病院に行く必要はありません。まずは発作の様子をしっかり観察することが大事です。保護者の方が普段と違うと感じた感覚はとても大事ですので、気になる動きがあった場合には、動画を撮った上で、小児科にご相談ください。その際に、どのような時に撮ったのか(寝起きや寝る前など)、どのくらいの時間続いたのか、などを記録していただくと、診断の役に立ちます。

<参考文献>
Chopra SS. Infantile Spasms and West Syndrome – A Clinician’s Perspective. Indian J Pediatr. 2020 Dec;87(12):1040-1046.

Pavone P, et al. West syndrome: a comprehensive review. Neurol Sci. 2020 Dec;41(12):3547-3562.

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

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(小児科医 大久保 真理子

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