お子さんの急な発熱や体調不良の時、何が原因なのか気になりますよね。近年では新型コロナウイルスの迅速検査も話題になったかと思います。そこで、今回は病院で検査をして当日中に結果の出る感染症の迅速検査についてご紹介します。
感染症の迅速検査には鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、便などを用います
感染症の迅速検査と言っても色々な方法があります。まず、それぞれの検査方法についてご紹介していきます。
検査方法は主に3つあります。
まず一つ目は、新型コロナウイルスの際にも多くの病院で実施された、鼻腔咽頭ぬぐい液による検査です。これは細い綿棒を鼻の穴から4-5cm程度挿入し、鼻腔底の粘膜を拭うようにして分泌を採取します。これは大人もそうですが鼻の奥がツンとして多少の痛みがあります。
二つ目は、咽頭ぬぐい液を用いた検査です。これは鼻腔ぬぐいより少し太めの綿棒でのどの奥の粘膜をこすって分泌物を採取して検査をします。痛みはあまりないですが、喉の奥をこするので咳き込んだり、オエっとすることがあります。
三つ目は、便を採取して検査をする迅速検査です。胃腸炎の時に実施することが多いです。
お子さんの場合は、病院に来てからタイミングよくうんちが出ることは少ないので、お家でとれた便(おむつ)があるとスムーズに検査ができます。
感染症の迅速検査では約10種類の病原体を調べることができます
次に、上記の3つの方法でそれぞれどんな感染症の検査ができるのかご紹介していきます。
まず、鼻腔咽頭ぬぐい液を用いて検査できる感染症で代表的なものは、①新型コロナウイルス感染症(抗原検査・PCR検査)、②インフルエンザウイルス、③RSウイルス、④ヒトメタニューモウイルスがあります。
咽頭ぬぐい液で代表的なものは、①溶連菌感染症、②アデノウイルス感染症、③マイコプラズマ感染症があります。
最後に便の検査では①ノロウイルス、②ロタウイルス、③アデノウイルスを調べることができます。
これらの検査は、5〜20分程度で陽性か陰性の結果を知ることができます。大きな病院では上記の検査はほとんど調べることができますが、クリニックでは検査できないものもあるので、検査を希望される際には一度検査ができるかクリニックに確認をした方が良いでしょう。
年齢や症状・経過に合わせてその都度必要な迅速検査を行います
迅速検査では上記のように色々な感染症の有無を確認することができます。しかし、全ての患者さんにこれらの検査を実施する訳ではありません。
では、我々小児科医はどのような時に迅速検査の実施を検討するのかについてお話しします。
まず、どの感染症についても当てはまることとして、身近にその感染症の診断を受けた人がいる場合は検査を検討します。特にインフルエンザや溶連菌などの学校保健安全法で出席停止の基準が設けられている感染症に関しては、身近にいる場合、検査をより積極的に検討します。
また、年齢によって検査を実施するかどうか判断をする場合もあります。RSウイルスやヒトメタニューモウイルスは、幼児・学童児では風邪症状で治ってしまうことがほとんですが、乳児で感染した際には気管支炎や肺炎にかかるリスクが高いです。そのため、特に1歳未満(多くは生後半年以下)で咳・鼻汁の症状が長引いていたり、ぜいぜいしている場合には積極的に検査を行います。
そのほか、溶連菌やアデノウイルスは発熱5日以上続くことも多いため、なかなか解熱しない場合や、のどや扁桃腺の赤み・腫れがひどい時に検討します。
このように、患者さんの年齢や症状・経過に合わせてその都度必要な検査を行いますが、発熱や症状が出てすぐの検査では偽陰性(本当は陽性なのにウイルス量や細菌量が少なく陰性になる)の場合もあるため、発熱の場合少なくとも12時間以上経ってから検査を受けるようにするのがよいでしょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 山上菜々美)