「フォローアップミルク」はいつ使うの??

実は、日本の小児科学会も世界保健機関(WHO)も米国小児科学会(AAP)も「フォローアップミルク」は不要という見解です。結論としては、フォローアップミルクを使う必要はないのですが、この記事ではそのフォローアップミルクがどんなものかご説明します。

フォローアップミルクは育児用ミルクとは全く別物です

フォローアップミルクは、補完食*が十分に進んだお子さんを対象とした、乳幼児向け飲料のひとつです。スーパーやドラッグストアでは、フォローアップミルクと母乳代用品の育児用ミルクが同じ陳列棚に並んでいますが、全く別物ですので注意してください。

 

*「補完食」とは、WHOが提唱する、乳幼児が必要な栄養を補うための食事のことです。日本の「離乳食」とほぼ一緒ですが、最初からエネルギーと栄養が豊富なもの(特に鉄、亜鉛、ビタミンC、ビタミンA、カルシウム)を中心にする点が異なります。

 

具体的には、以下のような方法をとります。

・最初からペースト状の濃度の高い(スプーンから落ちないくらいの濃さ)お粥を与える

・主食(お粥)だけでなく、栄養豊富な他の食材(味噌汁や豚汁、煮物を大人用に味付けする前に取り分けてつぶす等)も一緒に与える

フォローアップミルクで補完食が進まなくなることがあります

フォローアップミルクは甘味が強く、満腹感を感じやすいので、食事を食べなくなり、補完食が進まなくなることがあります。また、牛乳や麦茶など甘みのついていない飲み物を嫌がるようになることがあります。さらに、フォローアップミルクには亜鉛と銅がほとんど含まれていません。早産や低出生体重で出生した場合には、特に亜鉛欠乏に陥りやすいため注意が必要です。亜鉛欠乏の症状には皮膚炎や貧血、成長障害などがあります。

1歳になったら牛乳へ移行しましょう

1歳を過ぎて補完食が進んでいれば、育児用ミルクから牛乳へ切り替えます。牛乳は1日コップ2杯程度までとし、水分補給としては水や麦茶など、甘味の付いていないものにします。

また母乳に関しては、WHOは少なくとも2歳までの継続を推奨しています。

鉄不足が心配ならフォローアップミルクより補完食や鉄剤内服で補充を

鉄不足が心配な場合は、鉄分が豊富なアサリ(水煮缶でもOK)、ぶりや鯖などの赤身魚、牛の赤身肉、オートミールなどを補完食に取り入れるのがおすすめです。本当に鉄不足の場合には、フォローアップミルクではなく、鉄剤を内服した方が確実ですので、かかりつけ小児科医に相談しましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからも子育て・成長・栄養・発達に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 柴田優花

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