5種混合ワクチンって何!?

書いた人

西岡 仁美

小児科医

2024年4月から始まった5種混合ワクチンについて、「今までの4種混合ワクチンとはどう違うの?」「安全なの?」「接種スケジュールは?」など、まだよく分からないという親御さんも多いかと思います。

5種混合ワクチンとは「4種混合+Hib(インフルエンザ菌)ワクチン」のこと

5種混合ワクチンとは、これまでの4種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)にHib(インフルエンザ菌)ワクチンが加えられたもので、同時に5種類の感染症の予防を行うことができるワクチンです。

生後2カ月から接種が推奨されていますが、この時期は他にもB型肝炎、肺炎球菌、ロタウイルスなど多数のワクチンの接種時期でもあり、お子さんも親御さんも負担が大きいですよね。そこで4種混合ワクチンの代わりにこの5種混合ワクチンを接種することで、注射の回数をこれまでより減らすことができ、お子さんや親御さんの負担が軽減されることが期待されています。

5種混合ワクチンは安全です

ワクチンの副反応としては、接種した部分の腫れや局所の痛みなどが5〜80%程度と最も多く、発熱は5〜20%程度とされています。強いアレルギー症状(アナフィラキシー)は100万接種あたり1人未満と、きわめて稀です。

これらの副反応は他の予防接種と同程度であり、5種混合ワクチンに特別みられる副反応は報告されていません。また有効性もこれまでの4種混合+Hibワクチンと同等とされています。ですので、過去にワクチンの成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある方でなければ、これまでの4種混合ワクチンと同様に安全に接種していただくことができます。

接種スケジュールは「生後2カ月~初回3回+追加1回」の計4回

推奨されている5種混合ワクチンの接種標準期間は生後2カ月からなので、生後2カ月になったら早めに1回目の接種を受けましょう。1回目から3〜8週の間隔をあけて2回目、その後3〜8週の間隔で3回目を接種します。さらに3回目から6か月以上(6〜18カ月)あけて、かつ生後12カ月以降に、4回目の接種を受けてください。

なお原則として同じ種類のワクチンを接種することとされていますので、これまでに既に4種混合ワクチン・Hibワクチンを接種したことがあるお子さんは、引き続き残りも4種混合・Hibワクチンを接種するようにしてください。

自治体によって対応の詳細は異なりますので、不明点はお住まいの保健所や保健センターにお問い合わせください。

いかがでしょうか?5種混合ワクチンについてこれまでより少し理解できましたでしょうか?予防接種は、まだ免疫が未熟で重症化しやすい赤ちゃんを感染症から守る大切な手段です。接種可能な月齢になれば、体調が良い時になるべく早く接種してあげるようにしましょう。

<参考文献>
日本小児科学会.日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」.五種混合ワクチン.
厚生労働省.第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会.5 種混合ワクチンの定期接種化に伴う副反応に係る取扱いについて.
厚生労働省.第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会.5種混合ワクチンに関する論点.

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

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(小児科医 西岡 仁美

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