公開日: 2025年3月10日
乳児健診などで心雑音を指摘されると、心臓に重大な病気があるのではないか、と不安になることも多いでしょう。多くの場合、出生後の哺乳や体重増加が順調であれば、緊急の治療を要する疾患である可能性は低いです。今回はその中でも比較的多い心房中隔欠損(しんぼうちゅうかくけっそん)についてお話します。
心臓の正常構造について

このように、心臓は4つの部屋と2本の血管から成り立っています。右の部屋からは肺へつながる肺動脈が、左の部屋からは全身へつながる大動脈が出ています。そして心房中隔は左右の心房の間にある壁、心室中隔は左右の心室の間の壁です。
心房中隔欠損とは心臓の上の部屋を隔てる壁に穴があいた状態

心房中隔欠損とは、左右の心房の間に穴があいた状態です。ただし、この穴はお腹の中にいる間は通常あいています。産まれた直後に自ら呼吸を開始すると自然に塞がってくるものですが、それが塞がらずにそのままになった状態を心房中隔欠損と言います。
心房中隔欠損の症状は穴の大きさによって異なります。
穴が小さいとそこを通る血液量は少ないため、肺への血液量はほとんど増えず、多くの場合症状がありません。気づかないまま大人になり、動悸や息切れ、疲れやすさなどの症状で気づかれます。
穴が大きいとそこを通る血液量は多く、肺への血液量が増え、肺に負担がかかります。子どもの頃から症状が出ることもありますが、あまり目立たないことがほとんどで、心雑音や学校健診の心電図異常で見つかることが多いです。
治療は「カテーテル治療」と「手術」の2つ

産後、入院中に心雑音があると心臓超音波を行いますが、この時期に心房中隔に小さな穴があいていることは問題にはなりません。特に5mm未満であれば自然に閉鎖することもあり、しばらく経過観察となります。心房中隔欠損は多くは1歳までに閉鎖するとされていますが、穴が大きい場合は肺の血管に負担がかかったり、不整脈が起きる可能性があるため、治療が必要です。
治療方法には「カテーテル治療」と「手術」の2つがあります。穴の大きさ、形によってはカテーテルでは治療が難しいこともあります。また、カテーテル治療はできる医療機関が限られています。受診先を選ぶ際には、こちらも参照ください。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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