公開日: 2025年7月28日
お子さんがぜんそくと診断され、風邪をひいたときにゼーゼー・ヒューヒューと音がしたり、咳が長引いて病院で吸入をした経験があるご家庭も少なくありませんよね。吸入して症状がよくなることで少し安心するかもしれませんが、実はこれだけでは根本的な改善にはなっていません。
ぜんそくの治療で一番大切なのは、症状のないときに行う「発作の予防」なのです。今回は、この予防治療について解説します。
発作が起きたときの治療だけではぜんそくの治療は不十分です

ぜんそくの治療には、「発作が起きたときに行う治療(発作治療)」と「発作が起きていない元気なときでも日常的に行う治療(長期管理)」の2種類があります。
発作時には、気管支が非常に狭くなり呼吸が苦しい状態になっているため、一時的に気管支を広げて呼吸をしやすくする「気管支拡張薬」という吸入薬や飲み薬を使用することが多いです。
しかし、この薬の効果は一時的なもので数時間しか持続せず、治るまでに複数回使用が必要なこともあります。また、これだけで治らない場合は、ステロイドの点滴などを行うこともあります。
これらの治療で発作は治りますが、実はそれだけではぜんそくが治ったとは言えません。
発作が治った後も、同じような発作を繰り返し起こさないように予防することが一番大切です。これが「長期管理」つまり発作の予防です。
ぜんそくの治療「長期管理薬」にはステップが4段階あります。

ぜんそくの治療のステップは4段階あり、治療内容は5歳以下、6歳以上と年齢により異なります。具体的には、内服薬(飲み薬)、吸入薬、注射薬があり、お子さんの症状や発作の程度、頻度などにより決定されます。
乳幼児の場合、ロイコトリエン拮抗薬という内服薬から開始したり、吸入ステロイド薬と併用することが多いです。吸入ステロイドは治療ステップごとに用量が異なり、お子さんが発作を起こさない必要最低量を、主治医と相談しながら調整していきます。
内服薬や吸入薬を使用しても症状が改善しない場合、生物学的製剤という注射薬があります。注射であることのお子さんへの負担や、より頻繁に定期的な通院が必要になるなどのデメリットはありますが、内服薬や吸入薬で効果が乏しい場合の治療方法として効果が期待できます。
お子さんにとってどの治療が最適かは一人ひとり異なりますので、主治医の先生としっかりと相談して決めましょう。
自己判断で治療を中止するのはやめましょう

ぜんそくと診断された場合、基本的に、数カ月から数年単位で治療の継続が必要です。治療は長期的な経過を見ながら、総合的に判断して治療のレベルを少しずつ下げていきます。
一般的に、3カ月以上同じ治療を継続し、発作がない状態が続いたときに、治療のステップを一段階ずつ下げていきます。「最近は発作がなく調子が良いから」と自己判断で中止してしまうと、突然ぜんそく発作が起きてしまう可能性があります。
焦らず、慎重にステップを下げていくことが重要です。主治医の先生と相談しながら少しずつ、治療ステップを下げていってくださいね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ小児科オンラインでご相談ください。
<参考文献>
・一般社団法人日本小児アレルギー学会. 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023. 協和企画. 2023.