公開日: 2025年10月8日
最終更新日: 2025年10月8日
赤ちゃんが大きく反り返ると、「大丈夫?病気かも?」と不安になる方も多いと思います。検索しても答えがわからず、かえって心配が増えることもありますよね。
この記事では、赤ちゃんの反り返りのよくある理由と、確認しておきたいポイントについて解説します。
赤ちゃんの反り返りは、ほとんどが異常ではありません

乳児期前半は、反り返りが生理的に見られやすい時期です。
赤ちゃんは狭い子宮の中で過ごしていたため、体を曲げる力(屈筋)が強く、生後しばらくは手足を曲げた姿勢になっています。やがて体を伸ばす力(伸筋)も少しずつ育ち、姿勢をコントロールできるようになってくると、頭を支えられるようになり、首もすわってきます。
ただ、まだ屈筋と伸筋の両方をちょうどよく使うのが難しいこの時期は、泣く・興奮する・動きたい・寝返りの練習といった場面で、伸筋に力が入りすぎて、反り返ってしまうことが見られます。
また、抱っこや授乳の姿勢がしっくりこない、眠気、お腹のガスで不快などのときにも、一時的に反り返ることがあります。
乳児期後半に入り、屈筋と伸筋を上手に使えるようになりおすわりが安定する頃には、こうした反り返りは自然と減っていきます。
ごく一部で脳性まひなどの病気と関連していることがあります

一方で、ごく一部で反り返りが病気の症状であることがあります。それは脳性まひをはじめとした脳の障害によるものです。
脳に何らかのダメージがあると、「屈筋と伸筋をうまく協調させて使う」「必要な筋肉だけ適切に使う」ことが難しくなり、その結果、筋肉が過度に緊張して反り返りやすくなることがあります。
そのため、この場合は一時的な反り返りだけでなく、ほかの症状を伴うことが多いです。
また、胃食道逆流症といって、飲んだミルクが胃から逆流し、その不快感によって反り返る場合もあります。
親御さんからは自閉症との関連を心配されることもありますが、多くの場合は別の原因です。確かに自閉症の行動のひとつとして反り返りが見られることはありますが、赤ちゃんの発達は正常範囲に大きな幅があり、乳児期に自閉症を診断することは実際には困難です。反り返るという行動だけで、小児科医が自閉症を疑うことはありません。
受診の目安チェックリスト

赤ちゃんは、まだ未熟な筋肉を思いきり動かし、時に反り返りながら、体の使い方を学んでいっています。元気でよくミルクを飲み、体重が順調に増え、あやし笑いや首すわりといった発達が進んでいれば、反り返りはほとんどが一時的なもので心配ないでしょう。
ただし、次のような様子がある場合は病気のサインである可能性があるため、受診すると安心です。
また、抱っこや授乳時の反り返りで日常のケアが大変だと感じるときにも、受診して相談してみてください。
・安静時や寝ているときも体が弓なりに反っている
・ずっと手を握りしめている
・足を硬く伸ばしていて、足裏を合わせる姿勢がとれない
・手足の動きが乏しい、左右差がある
・関節が硬い
・首すわりや寝返りの発達が大きく遅れている
・6か月を過ぎてもモロー反射(大きな音にビクッとする)や把握反射(指をにぎりしめる)が強く残っている
・うまく哺乳できない、むせが目立つ
・出産時に赤ちゃんに呼吸停止や脳の出血、重い感染症などがあった
ただ、わが子の発達について心配になるのは自然なことですし、判断に迷うのも当然です。そんなときは遠慮なく専門家に相談してください。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ小児科オンラインでご相談ください。