熱性けいれんQ&A〜うちの子、大丈夫?〜

最終更新日: 2024年3月26日 by syounikaonline

熱が出た時に、けいれんを起こしたことがあるお子さんは多いと思います。この記事では、熱性けいれん(俗にひきつけ)と診断されたお子さんに関する疑問にお答えします。

Q1. 熱性けいれんって何?

熱性けいれんはよくある疾患で、日本では8%のお子さんにみられます。発症のピークは1-2歳で、通常38度以上の熱が出た時に、多くは1-2分ほどのけいれんを起こします。

はっきりとした原因は不明ですが、子どもの脳の細胞は未熟なため、風邪などで高い熱が出た時に脳の細胞が異常に活性化するのを抑えられない、などと考えられています。脳の細胞の成熟に伴い、小学校に入る頃までには熱が出てもけいれんしなくなります。

3分の1のお子さんは幼少期に何度かくり返し熱性けいれんを起こしますが、成長に伴いけいれんしなくなります。(1)

Q2. 病院で検査せずに帰宅となったけど、大丈夫?

熱性けいれんを起こしても、必ずしも採血などの検査をする必要はありません。けいれんの様子や経過などから典型的な熱性けいれんと考えられる場合は、検査をしても異常所見がないためです。

ただし、熱性けいれんの経過としては非典型的な場合や、全身の状態が悪い場合などは、発熱自体の原因を調べたり、熱性けいれん以外の原因でけいれんしたのではないか調べる必要があるので、検査をします。

“よくある典型的な熱性けいれん”と考えられる場合は、検査をせずに帰宅となることが多いですが、心配しなくて大丈夫です。(2)

Q3. 熱性けいれんの子どもは将来てんかんになるの?

熱性けいれんのお子さんのほとんど(90%以上)はてんかんを発症しません。日本全体の人口のうち、てんかんと診断されるのは0.5-1%の人です。症状が典型的な熱性けいれんの場合にてんかんを発症するのは1%の人で、熱性けいれんかどうかでてんかんになる可能性はほとんどかわりません。(3)

熱性けいれんの症状や経過が非典型的な場合、将来てんかんと診断される可能性が高くなることが、ごく一部にあります。さらに詳しく聞きたい方は小児科オンラインまたはかかりつけの小児科医にご相談ください。

Q4. 熱性けいれんは子どもの発達に影響がある?

熱性けいれんは、発達が正常のお子さんも発症します。熱性けいれんは通常、脳へのダメージを与えたり、その後の発達に影響を与えることはありません。(4)

Q5. 熱性けいれんは遺伝する?

両親が熱性けいれんを起こしたことがあると、お子さんも熱性けいれんを起こしやすいと言われています。(5) その場合も熱性けいれんが成長とともに良くなる疾患であることにかわりありません。

けいれんを止める治療や予防については詳しくはこちらのページを、

けいれんした時の対応についてはこちらのページをご参照ください。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの予防接種、感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 上野淳奈

 

 

 

参考文献

(1) 大塚頌子ほか. フローチャートでわかる小児てんかん診療ガイド. 診断と治療社. 2011.

(2) (3) 日本小児神経学会. 熱性けいれん診療ガイドライン2015. 診断と治療社. 2015.

(4) National Institute of Neurological Disorders and Stroke. Febrile Seizures.

(5) Robert M. Kliegman. Nelson Textbook of Pediatrics. 20th ed., 2829 p.

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