RSウイルスの重症化を防ぐ!シナジス・ベイフォータスってそれぞれどんな薬?

公開日: 2025年12月26日

RSウイルスは小さなお子さんが感染すると、気管支炎など重症な呼吸器感染症を引き起こすことも。

重症化を予防するための注射薬シナジス・ベイフォータスについて、対象となるお子さんや効果、副反応も含めてわかりやすく解説します。

RSウイルスについては、「乳児は要注意『RSウイルス』」の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

シナジス・ベイフォータスはRSウイルスの重症化を防ぐ薬

RSウイルスは、年長のお子さんがかかった場合には一般的な風邪で済むことがほとんどです。

しかし、早産のお子さんや、心疾患や免疫の病気などがある場合、また小さな月齢の赤ちゃんでは気管支炎や肺炎など重症化することがあります。

その重症化を予防する注射薬として、シナジス(一般名:パリビズマブ)、ベイフォータス(一般名:ニルセビマブ)の2種類があります。これらはRSウイルスに対する抗体をあらかじめ体に補い、ウイルスの増殖を抑える働きがあります。

投与しても完全に感染を防げるわけではありませんが、重症化を大きく減らすことが期待できます。太ももに筋肉注射をすることが一般的です。

主な違いは投与回数です。シナジスはRSウイルスの流行期間中に毎月注射する必要があります。一方、ベイフォータスは流行開始初期に1回投与することで効果が数か月持続します。日本では一般的に秋〜冬の流行が始まる時期に投与されますが、流行状況や自治体によって投与時期は多少前後することがあります。安全性や有効性に大きな差はないとされています。1)

対象のお子さんは保険診療で投与可能

これらの注射薬はどんなお子さんが対象になるでしょうか?

シナジスは、早産(35週以下)・心疾患・慢性肺疾患・ダウン症候群のお子さんが対象で、2024年度からは新適応として肺低形成・気道狭窄・先天性食道閉鎖・先天代謝異常症・神経筋疾患も追加されました。2)

つまり、シナジスはこれらの基礎疾患や状態があるお子さんのみが対象となり、保険診療になります。一方、ベイフォータスは、①シナジスの適応となるお子さん(新適応を除く)に加えて、②12か月未満のすべてのお子さんが適応になりました。ただし現在のところ②のお子さんは保険診療ではなく自費診療になっています。1)

副作用は少なく、予防接種への影響はなし

重篤な副作用として、添付文書上はどちらもアナフィラキシー(強いアレルギー反応)や血小板減少がありますが、頻度は不明で、非常にまれと考えられています。

そのほか、発熱や注射部位の腫れ・痛み・発疹などの副作用がみられることがありますが、頻度は0.1〜1%未満と低く、いずれも軽度で自然に改善することがほとんどです。

また、予防接種のスケジュールに影響することはありません。同じ日や翌日などいつでも投与することができます。

<参考文献>
1)日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会「日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン」 
2)日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「日本におけるパリビズマブ適応追加に関連した注意事項」

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ小児科オンラインでご相談ください。

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