魚アレルギーってどんなアレルギー?だしや練り物も食べられないの?

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

魚は日常でよく食べる食品であり、魚のアレルギーがあると生活に大きく影響します。卵や乳のアレルギーに比べると比較的まれな魚のアレルギーの基本的な考え方について解説します。

ひとつの魚にアレルギーがあると他の魚でもアレルギー症状が出てしまうことが多いです

魚アレルギーは、魚の筋肉に含まれるパルブアルブミンという蛋白質が主な原因です。日常生活でよく食べられるサケやサバ、アジなど(硬骨魚網)のパルブアルブミンの構造は似ているため、ひとつの魚にアレルギーがあると他の魚でもアレルギー症状が出てしまうことが多いです。

一方で、マグロは症状が出るけどサバは症状が出ない、といった場合もあります。症状が出るかどうかは、魚の分類と一致していません。また、赤身か白身かなどの見た目の違いとも一致していません。食べられる魚と食べられない魚を簡単に判別できないのが魚アレルギーの対応の難しいところです。

また、魚アレルギーは鶏卵などのアレルギーと違い、年齢とともに自然に治る可能性は低いとされています。

よってひとつひとつの魚についてアレルギーがあるか正しく診断していく必要があります。

診断は食物負荷試験で実際に食べて症状が出るかを確認します

魚のアレルギーが疑われた場合、血液検査で魚のIgE抗体を調べます。血液検査で調べられない魚は、皮膚プリック検査を行う場合もあります。最終的には実際に食べて症状が出るかを食物負荷試験を行って診断します。(各種検査については「正しく理解!食物アレルギーの検査」「食物アレルギーの食物経口負荷試験って実際どんな感じで行うの?」も参照してください。)

また、魚を食べて症状が出たからと言って、真の魚アレルギーとは限りません。ヒスタミン中毒(鮮度の落ちた魚の中で生成されたヒスタミンが、アレルギーのような症状を引き起こすこと)やアニサキス(魚にいる寄生虫によってアレルギーのような症状がでる)の可能性もあります。それまで食べて症状が出たことがあったかなどの詳しい経緯とこれらの検査を合わせて診断していきます。

魚アレルギーがあっても、だしや缶詰、練り物は食べられるかもしれません

アレルギーと診断された魚は症状が出ると危険なので基本的には食べずに生活しなくてはいけません。

しかし、かつおだしなどのだしは蛋白質を分解してアミノ酸を抽出したものなので、魚アレルギーがあっても食べられることが多いです。

また、缶詰などの高温・高圧処理されたものも、上述のパルブアルブミンが反応しにくい状態に変化するため、アレルギー症状が出にくいとされています。パルブアルブミンは水に溶けやすい性質もあるため、魚肉を水にさらす工程を経て作られる練り物なども、アレルギー症状が出にくく食べられる可能性があります。

 

たくさん種類のある魚やその加工品の中で、どれでアレルギー症状が出て、どれで出ないのか、ひとつひとつ正しく認識していくことが重要です。

しかし、自己判断でいろいろと食べ進めていくのは危険も伴います。必ずアレルギー専門医と相談して進めていきましょう。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギー、栄養に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

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