最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
赤ちゃんにとって離乳食を食べるのは初めての体験ですが、親御さんにとっても離乳食をあげるのは初めての体験です。そのため不安や課題を抱えることも多く、親御さんから「本やインターネットに載っている通りにいかないんです」とか「書いてある量よりもっと食べたがるのですが」などの質問もよく聞かれます。今回は標準的な離乳食の回数と量の考え方とバリエーションについてお話しします。
離乳食初期は食卓に楽しく参加し始めることに重点を
皆さんがお持ちの母子手帳も本屋さんでよく見かける離乳食の本も、離乳食の進め方は厚生労働省が公表した「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに作られています。
その「授乳・離乳の支援ガイド」によると、
・離乳食の開始時期は生後5〜6ヶ月
・与えるものは滑らかにすりつぶした状態のものを1日1回スプーンで1さじとされています。
離乳食の本には、スプーンの上に乗った10倍粥の写真がカレンダーと共にわかりやすく載っていたりしますね。
日本ではお粥を1さじから与え始めるのが一般的です。この時期は母乳やミルク以外のものに慣れ、食卓に楽しく参加し始めることに重点が置かれますので、この一般的なやり方通りにいかない場合は、少しバリエーションを加えることができます。
初期には授乳の後に離乳食をあげてみるという方法も
たくさん食べたがるお子さんの場合、大人が食べる姿を見て毎回食べ物を欲しがるのかもしれません。
例えばWHOの補完食(日本で一般的にいう離乳食)の進め方によると、離乳食の開始当初は1日1〜2回、1〜2さじから慣らして、6〜8ヶ月の時期は1日に2〜3回、授乳の後にあげましょうとされています。
回数が違うことも、授乳の後に離乳食というのも厚生労働省のやり方と異なりますね。ですが、ここはお子さんの食べたがる意欲を大切にして、バリエーションをつけても良いところです。
また、「授乳・離乳の支援ガイド」ではお粥の形状をお粥を10倍、5倍などの表現はしておりません。本に載っている10倍粥では水分が多過ぎて物足りなく感じるお子さんもいるかもしれません。
滑らかにすりつぶした状態と言うのは、スプーンですくった際に容易にスプーンの上に止まることができる状態になります。初期のお粥の柔らかさの目安は、ペースト状のベビーフードの硬さを参考にすると良いですよ。
離乳食中期以降は個性に合わせて
歯が生え始めるのに個人差が大きいように、離乳食の進み方にも早い子ゆっくりな子とそれぞれ個性があります。
「授乳・離乳の支援ガイド」によると、
・7〜8ヶ月には離乳食は1日2回、母乳は欲しがるだけ、またはミルクを1日3回、離乳食の量はお粥を例にすると50〜80g
・9〜10ヶ月には離乳食は1日3回、母乳は欲しがるだけ、またはミルクを1日2回、離乳食の量はお粥を例にすると90g
とされています。
赤ちゃんの成長に伴い、1日に必要なエネルギー量は増えていきますが、そのエネルギーを授乳と離乳食からどの程度摂取するかの割合は赤ちゃんごとに異なります。
母乳を飲む量の変化は実感が湧かないかもしれませんが、離乳食をたくさん食べるお子さんは、その分授乳量が自然と減っていきます。
市販のベビーフードは平均的なお子さんの摂取量に合わせてできていますので、活発でもりもり食べるお子さんはそれに少し上乗せした量を、おとなしいお子さんはそれより少なめの量でも良いかもしれません。
母子手帳の体重増加曲線を参考に、お子さんに見合った量なのか検討して、ミルクメインの方は授乳量も変更してみてくださいね。
お子さんは、それぞれ離乳食への反応や進め方も異なります。大切なのは、家族と食卓を囲み、一緒に食事をしながら食べる楽しさの体験を増やしていくことで、お子さんの「食べる力」を育むことです。
お子さんの食に関する発達には個性がありますので、無理せずそれぞれのお子さんの状況に合わせ、各家庭の食習慣や地域の食文化を取り入れて自然に進められたら良いですね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 梶原久美子)