喉頭軟化症って何?〜赤ちゃんがゼロゼロしているときに考えること〜

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

赤ちゃんが呼吸しているときにゼーゼー・ゼロゼロと音がしていることはありませんか。

赤ちゃんの喘鳴(ぜんめい:ゼーゼーやゼロゼロという音)で、最も多い原因は喉頭軟化症(こうとうなんかしょう)です。今回は喉頭軟化症についてお伝えします。

喉頭軟化症では空気の通り道が狭くなります

喘鳴は、狭くなった気道(空気の通り道)を空気が通るときになる音です。喘鳴には息を吐くときに聞こえる「呼気性喘鳴」と、息を吸うときに聞こえる「吸気性喘鳴」があります。子どもに喘鳴を起こす代表的な病気である気管支喘息などでは呼気性喘鳴が聞こえますが、喉頭軟化症では吸気性喘鳴が聞こえます。

のどのあたりの気道や声帯は、喉頭(こうとう)と呼ばれています。軟骨が未熟な乳児では、喉頭の作りがしっかりしておらず、やわらかく弱い場合があり、息を吸うときに喉頭が引きこまれて気道がせまくなり、音が聞こえます。

多くの喉頭軟化症の赤ちゃんが成長とともに改善します

喉頭軟化症では、生後2週くらいから症状が出始めることが多く、生後3~8か月くらいに症状がピークになります。仰向けの姿勢で喘鳴が出やすく、泣いているとき・興奮しているとき・哺乳しているときに喘鳴が強くなります。

喉頭軟化症は、成長とともに気道が発達すると、自然に症状が改善してくることが期待できます。8-9割の赤ちゃんが1-2歳くらいまでに自然に治癒します。

呼吸が苦しくないか、体重が増えているかどうかを観察しましょう

喉頭軟化症の赤ちゃんの中には、母乳やミルクを上手に飲めず、体重が増えない赤ちゃんもいます。胃食道逆流を合併することが多く、胃食道逆流症と喉頭軟化症はお互いに悪循環になるため、胃食道逆流症の治療も一緒に行います。

(胃食道逆流症については「赤ちゃんのくり返す嘔吐 〜もしかしたら胃食道逆流(GER)かも」をご参照ください)

また、気道が狭くなりすぎると、呼吸が苦しくなってしまうことがあります。呼吸が苦しいサインには「チアノーゼ」や「陥没呼吸」があります。チアノーゼは酸素がうまく体に取り込めず顔色や体の色(特に唇など)が紫色になることで、陥没呼吸は息を吸う時に肋骨の間・鎖骨の上・のどの下などが凹むことです。

哺乳がうまくできず体重が増えてくれない場合や、呼吸が苦しいサインがみられる場合には、治療が必要です。治療には保存的治療(酸素使用、人工呼吸器での呼吸補助、経管栄養での栄養補助)と外科的治療があります。

赤ちゃんの喘鳴が気になるときには、喉頭軟化症かそうでないかの診断が必要です。また、喉頭軟化症の治療が必要かどうか、一度小児科医に相談することをおすすめします。

    

  

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの呼吸器に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 岡野彩子

    

   

   

参考文献

Robert M. Kliegman. ネルソン小児科学 原著第19版.衛藤義勝監修.エルゼビア・ジャパン, 2015, 1695p.

廣瀬正幸.喉頭軟化症.小児内科 51: 1401-1404, 2019.

内山環.喉頭軟化症.小児科診療 82(1): 43-48, 2019.

SNSでシェア