はじめての歩行~発達や受診の目安~

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

お子さんのはじめての歩行は保護者の方にとって、とても待ち遠しい、嬉しいイベントです。
その開始時期には個人差があり、「うちの子はまだ歩かない」とご心配されている保護者の方もおられると思います。

今回は歩行の一般的な発達経過や、受診を考えた方が良い目安をご説明します。

歩行開始は平均的に1歳前後ですが、個人差があります

お子さんの首の座り以降の大きな運動発達(寝返り、お座り、ハイハイなど)は個人差があり、一般的な月齢から2,3か月程度遅いこともあります。

その中でも二足歩行はさまざまな経過をたどることがあります。平均としては1歳前後で可能となることが多いですが、全体の目安としては1歳6か月で99%のこどもが一人で歩けるようになるといわれています。

日本では、母子保健法により各自治体に1歳6か月健診が義務付けられているため、歩行を開始しているかどうかは主にこの健診で確認されます。

1歳6か月で歩行を開始していなければ、小児科を受診してください

1歳6か月で歩行を開始していない場合は、脊髄や脳、筋肉の病気の可能性を考慮して、小児科医の診察や検査、フォローアップを受ける必要があります。

診察では筋肉の緊張や力、神経の診察をしたり、大きな運動発達以外(細かい手の動きや言葉の理解などの精神面)にも着目しています。
中にはシャフリングベビーのように、基本的には将来的に問題の残らないケースもありますが、経過をみないと判断が難しいケースも存在しますので、必ず小児科にご相談ください。

シャフリングベビーについては、「はいはいしないのは異常ですか?ーシャフリングベビーかもしれません」も参照してください。

健診では歩き方も確認しています

歩行の発達は、初めは1歳頃に両腕を肩の高さにあげたhigh guard(ハイガード)をとり、1歳2~3か月で両腕が中間まで下がるmiddle guard(ミドルガード)となり、1歳6か月を過ぎると両腕を下におろし、上下肢の運動にバランスが取れたno guard(ノーガード)となります。この段階で小走りが可能となります。
そのため、私たち小児科医は1歳6か月健診や診察の時に、歩行の状態も確認しています。

また歩き方の異常には内科的な病気だけではなく、発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)等の整形外科的な病気が隠れていることもありますので、歩き方がご心配な場合は、動画を取り、小児科オンラインでご相談していただくことも可能です。

 

1歳6か月までに歩行をしない場合は、小児科を受診しましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの神経や発達に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 竹田加奈子

 

 

参考文献

洲鎌盛一, 乳幼児の発達障害診療マニュアル. 医学書院.2013.

久保田雅也, 五十嵐隆. 小児科臨床ピクシス. ここまでわかった小児の発達 歩行の発達的変化とその評価. 中山書店. 2010.

小児科臨床 Vol.72 2019年増刊号 小児外来:どう診るか、どこまで診るか. 日本小児医事出版社. 2019.

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