プロトピック®軟膏ってどんな薬?

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド外用薬が有名ですが、他にも複数の炎症を抑えるぬり薬があります。

今回はプロトピック®軟膏の特徴と使い方について解説します。

ステロイド外用薬の副作用(皮膚の萎縮、赤ら顔)がでないのが特徴です

プロトピック®軟膏は、ステロイドとは違うメカニズムで炎症を抑えます。
成人用(0.1%)の有効性は、Ⅲ群のステロイド外用薬(リンデロン®Vなど)と同じくらいであるとされています。

ステロイド外用薬の副作用である皮膚の萎縮、赤ら顔(酒さ様皮膚炎)がないことがメリットのひとつです。

16歳以上ではプロトピック®軟膏0.1%、2歳から15歳ではプロトピック®軟膏0.03%を使います。

副作用として灼熱感(ぴりぴり、ほてりなど)やかゆみがでることがあります。
しかし、数日続けてぬって皮膚が良くなっていくと治まっていくことが多いです。
ただし、じゅくじゅくした湿疹が目立つときにぬると刺激が強く、副作用が強くでるので、湿疹がひどい時にはぬらないようにします。

プロトピック®軟膏は、皮膚の炎症の再燃を抑えるのに役立ちます

アトピー性皮膚炎の湿疹にはまず、ステロイド外用薬をぬりますが、赤みやかゆみが少しよくなっただけで薬をやめると皮膚の深いところにいる炎症細胞が悪さをして湿疹が再燃してしまいます。

しばらく炎症を抑える薬を続けたいのですが、顔や首は皮膚が薄くステロイド外用薬の副作用が出やすいため、長期で使うのは避けたいものです。

そこで活躍するのがプロトピック®軟膏です。

プロトピック®軟膏は分子量が大きく、正常な皮膚からは吸収されません。また、湿疹が改善してきたところで使い始めれば、灼熱感は出にくくなります。

よって、ステロイド外用薬で皮膚表面の炎症を改善させてから、プロトピック®軟膏に切り替えてぬり続けることで炎症の再燃を抑え、かゆみのないきれいな状態を維持していくことができます。

ぬる量は、Finger tip unitを参考にしましょう

ぬる量はfinger tip unit(FTU)を参考にします。

プロトピック軟膏は口径が小さい5gのチューブなので
【1 FTU = 人差し指の先〜第一関節まで(約2.5cm)押し出した量】
これが、大人の手のひら一枚分の面積に塗る量になります。

(ぬり方は「正しくぬろう!アトピー性皮膚炎の軟膏」を参照してください。)

 また、プロトピック®軟膏は1日にぬってよい上限量が決まっています。
顔や首以外など広範囲に必要な場合は注意しましょう

アトピー性皮膚炎の外用薬はステロイド、プロトピックに加え、近年コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏が使用できるようになり、治療の選択肢が広がっています。

皮膚の状態にあった薬を適切な量、期間使うことが重要です。
湿疹で困っている場合は、皮膚科やアレルギー専門医などを受診しましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

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