最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
アトピー性皮膚炎は乳児湿疹と区別して扱われることがありますが、乳児湿疹は赤ちゃんにおこる湿疹の総称なので、アトピー性皮膚炎も乳児湿疹の一つです。アトピー性皮膚炎の診断に重要なのは次の3つです。
01. かゆみがあるのが特徴です
バリアが弱くなった皮膚の表面からアレルゲンが侵入したり、外部の刺激が加わると、皮膚の中で炎症が起き、かゆみの神経を刺激します。かゆくて皮膚をかき壊すことでさらに皮膚のバリアが壊れて炎症がひどくなり、かゆみも悪化するという悪循環がおきます。この「かゆみ」があるかどうかがアトピー性皮膚炎の診断に重要です。
赤ちゃんは「かゆい」と言えず、かゆみがあるかどうかはわかりにくいです。抱っこしたときに顔をこすりつけてくることはないか、皮膚に爪あとやひっかき傷がないかなどに注目します。
02. 赤み、ぶつぶつ、じゅくじゅく、がさがさ、ごわごわ、いろいろな発疹がでます
赤みや小さなぶつぶつがでたり、じゅくじゅくしたり、乾燥してうろこのようにはがれおちたり、かき壊してかさぶたができたりします。長期間繰り返していると皮膚がごわごわに厚くなったり、痒疹(ようしん)というかゆみの強い皮膚の盛り上がりができることもあります。
顔(おでこや目の周り、唇や口周囲)、耳のまわり、首に出やすく、手首・肘・膝・足などの関節には左右対称に出たり、胸、おなかや背中などの広い範囲にでることもあります。年齢によって発疹の出かたや広がり方が違います。
03. 繰り返したり、長く続くものです
かゆみのある湿疹がずっと続いていたり、よくなったり悪くなったりを繰り返しているかも重要な点です。日本のアトピー性皮膚炎の診断基準では、赤ちゃんの場合は湿疹が続く期間が2か月以上、それ以外は6か月以上としています。海外の診断基準では期間の設定なく赤ちゃんでも2か月を待たずに診断します。どちらの基準を使わなくてはいけないとか、どちらが優れているなどはありません。
他にも診断の補助として、食物アレルギーなどの他のアレルギーがないか、両親や兄弟にアトピー性皮膚炎がないかなども参考にします。
生後1-2か月で湿疹が出始めても、発疹の形状だけでそれが一時的な湿疹なのか、アトピー性皮膚炎として続いていくものなのかはわからないことも多いです。しかし、のちにアトピー性皮膚炎と診断される子の多くは生後1-3か月で発症していることが多いです。赤ちゃんの湿疹は長引くと治りづらくなったり、食物アレルギーの発症と関わります。
湿疹が出ていたら、はっきりとアトピー性皮膚炎と診断がつかなくても、早めに皮膚の状態に応じた治療を開始することが大事です。
湿疹でお困りの場合は、小児科や皮膚科などで相談しましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
小児科オンラインはこれからもお子さんのアトピーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 小笠原久子)