発熱と解熱剤のよくある誤解3つ

最終更新日: 2024年5月27日 by syounikaonline

子どもは大人に比べてカゼを引いて熱を出すことが多いので、解熱剤(熱さまし)を処方される機会がたくさんあります。この記事では発熱と解熱剤のよくある誤解について取り上げました。

解熱剤はカゼ(発熱)を「治療」するわけではない

解熱剤がカゼ(発熱)そのものを治療すると誤解されてる方が多くいらっしゃいます。カゼをひいたときの発熱は、身体が感染症と闘うための自然な反応です。

解熱剤は一時的に体温を下げることで身体を少し楽にしてくれますが、発熱の根本的な原因を治すわけではありません。そのため、熱が出ていてもお子さんが元気であれば、必ずしも解熱剤を使う必要はありません。また、寝ている子を起こしてまで解熱剤を使用する必要もありません。

「高い」体温は必ずしも危険ではない

子どもの発熱は大人より高温になりやすく、カゼでも39~40℃を越えることがあり、びっくりされる方も多いと思います。しかし、「体温が高いほど病気が重症」とは限りません。ほとんどの発熱は重病ではなく、2~3日で自然に解熱します。大事なのは発熱に伴う症状(けいれんなど)や全身の状態(意識や呼吸、食事・飲水の有無など)に注意を払うことです。

一方で41℃を越える発熱は重病の心配もありますので、医療機関に相談するようにしてください。

解熱剤は散剤もシロップも座薬も効果は同じ

小児で最も多く使われている解熱剤はアセトアミノフェンです。飲み薬は「カロナール」、座薬は「アンヒバ」や「アルピニー」などの商品名で処方されることもありますが、どれも成分は同じアセトアミノフェンです。そのため、散剤(粉薬)、シロップ、座薬のどのタイプでも効果は同じで、使用してから30~60分以内に解熱効果が現れます。

4時間未満の間隔でアセトアミノフェンを連続で使用すると副作用が心配ですので、「シロップを飲んでも熱が下がらなかったから、すぐに座薬も入れる」ような使い方はしないように注意してください。

子どもが熱を出すと心配になりますが、不安になりすぎず、適切なタイミングで解熱剤を使ってあげてください。

<参考文献>
JE Sullivan et al. Pediatrics 2011;127:580-7

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの感染症・発熱・薬に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 大西卓磨

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