新生児のころは寝ている間におしっこが何回も出ていたのに、最近は夜全然オムツがぬれていない…脱水でしょうか?なにかの病気でしょうか?とご質問を受けることがあります。今回は、このようなご相談にお答えしていきます。
活気があり、哺乳や食事が良好なら、心配ありません
「寝ている間に、何回あるいは何mLの尿が出ていないといけない」という医学的な基準はありません。
生後数ヶ月たつと、寝ている間はおしっこが出ず、起きてから排尿する、という健康なお子さんの例もよくあります。
起きている間に尿が出ていて、活気もあり、哺乳や食事が問題なくできているようであれば、夜中に尿が出ていないだけで重大な病気を考えることはありません。
1日の尿回数や、尿量の目安を参考に
1日の尿回数の目安は、生後5日頃は「1日5回以上」です。生後1カ月頃は「1日6〜8回以上」、多いと15〜20回も排尿します。
生後6カ月頃から、下記のように徐々に回数が減ってきます。少しずつ膀胱が大きくなり、ためられる尿の量が多くなってくるからです。
・生後6カ月〜1歳 1日10〜15回
・1歳〜2歳 1日8〜12回
・3歳〜4歳 1日5〜10回
・4歳〜 1日4〜8回
また、具体的な尿量の目安は、お子さんの体重で決まります。
体重1kgあたり、1時間あたりの排尿量は 1.5mL〜2mL、つまり1日(24時間)では体重1kgあたり 36〜48mLとされています(たとえば 5kgのお子さんなら、1日あたり180〜240mLが目安)。
平均的な体重のお子さんであれば、月齢ごとでみると、下記が1日尿量の目安です。
・0〜1カ月 100〜200 mL
・1〜3カ月 250〜400 mL
・3〜12カ月 400〜500 mL
・12~24カ月 500~600mL
受診の目安は、全身状態で判断を
夜おしっこが出ていない、というだけで、受診を急ぐ必要はありません。
・起きているのに、12時間以上おしっこが全く出ない
・水分がとれないほど、ぐったりしている
・嘔吐や下痢をくりかえし、ひどくなっている
などの症状があれば、受診してください。
おしっこの色が普段より少し濃いだけ、というのも、お子さんの活気があれば心配いりません。
また、おむつについた尿が、うっすらピンク色にみえることもよくありますが、これも健康なお子さんで見られる現象です。「おむつがピンク色に!これって血尿?!」もご覧ください。
おしっこの回数や量が変化すると、心配になりますよね。
夜寝ているときだけではなく、1日全体のおしっこの回数や、また、お子さんの全身の状態に注目すると、落ち着いて対応できるかもしれません。
<参考文献>
阪下和美. 正常ですで終わらせない! 子どものヘルス・スーパービジョン. 東京医学社. 2017.
UpToDate. Assessment of systemic perfusion in children.
American Academy of Pediatrics. Baby’s First Days: Bowel Movements & Urination.
NIH. What are some of the basics of infant health?
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 白井沙良子)