お子さんのワクチンは、種類も回数も多く、大変ですよね。
ワクチンの接種時期を過ぎてしまった時や、定期接種と任意接種の違い、万が一副反応が起こった時の対応について説明します。
ワクチンには推奨される接種の時期がある

どのワクチンも、接種の期間(接種できる年齢や、接種の間隔など)が定められています。
これは感染症によって、それぞれかかりやすい年齢および流行期間があるからです。
なお推奨される接種期間を過ぎてしまった場合でも、対象年齢内であれば接種可能です。4)
たとえばBCG(結核)のワクチンは、生後5ヶ月〜7ヶ月の間に接種することが推奨されています。ただし対象年齢としては1歳未満までは接種できます。よって万が一生後7ヶ月を過ぎてしまっても、1歳未満までは接種が可能です。
さらに対象年齢を過ぎてしまった場合でも、自費となってしまいますが、接種可能な場合もあります。ただしこの場合はあらかじめ、お住まいの保健所・保健センターなどへの問い合わせが必要です。
お子さんのこれからの長い人生を考えて、ワクチンで予防できる病気にかからないために、かかっても軽く済ませるためにもワクチン接種をお勧めします。気付いた時にできる限り早く接種することが大切です。
定期接種も任意接種も、医学的には大事なワクチン

ワクチンには定期接種と任意接種のものがあります。ただし医学的な重要性は、、両者に差はありません。2つの差は、あくまで制度上のものです。
たとえば定期接種のワクチンとは「予防接種法」と呼ばれる予防接種の規則を決めた法律に書かれているワクチンのことです。現在、子どもの定期接種のワクチンとして14種類が認められています。こちらは無料で接種が可能です。
一方で任意接種のワクチンは、「予防接種法」で規定されていないワクチンのことです。接種に必要な費用は、原則個人が負担します。尚、一部の地方自治体では、その費用を一部、または全額負担してくれるところもありますので、お住いの地方自治体の保健所・保健センターにご確認ください。1)
なお副反応が起こった場合も、定期と任意では補償の経路などが異なります。予防接種による副反応で医療費を要した場合、後遺症が残った場合、死亡した場合などについて、定期接種であれば予防接種法に基づく救済制度、任意接種であれば、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による救済制度があります。2)3)
つまり定期でも任意のワクチンであっても、接種することが大事です。ただし法律の都合で、接種の費用負担が異なります。
副反応は一般的に数日以内におさまる

予防接種の後に、熱が出たり、機嫌が悪くなったり、はれたり、しこりがでたりすることがありますが、そのほとんどが2~3日で自然に改善していきます。
このようにワクチンを接種した後の反応を副反応と言います。副反応のほとんどが一時的な症状で、実際に感染症にかかって重症化したときの症状と比べると軽いものがほとんどです。
予防接種を受けたあと、副反応かもしれない、と思う症状が生じたときは、接種した医師にご相談ください。
また下記の記事も、ぜひ参考にしてください。
・予防接種をうったところが腫れた際の受診の目安
・予防接種のあとに熱が出た際の受診の目安
・ロタウイルスワクチン接種後に受診が必要なのはどんな時?
<参考文献>
1) 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」, A-02 定期接種と任意接種のワクチン
2) 日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」,A-04 予防接種の副反応と有害事
3)予防接種に関するQ&A集, 一般社団法人日本ワクチン産業協会, 2024
4)一般社団法人日本ワクチン産業協会、ワクチンについて
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
小児科オンラインはこれからも、お子さんの予防接種、感染症、発熱、皮膚・発疹に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 湯田 貴江)