発達理論から考える、イヤイヤ期と向き合うコツ

yamaguchi

イヤイヤ期、とうとう来たか…

聞いてはいたけれど、こっちがイヤ!になってしまいそう。

きょうはそんなイヤイヤ期をちょっと前向きにとらえるコツについて、子どもの発達の視点からお伝えします。

生後半年くらいまでの赤ちゃんとお母さんは「ふたりでひとつ」

生後数週間、赤ちゃんはお母さんを中心とする養育者に絶対的に依存していて自分と外の世界のさかいめはまだはっきりとしていません。

その後、2か月を過ぎると、少しずつ自分の内部と外部が違うんだとわかり、とくによく世話をしてくれる人のイメージを抱けるようになります。そして、お母さんと自分が「ふたりでひとつ」という共生の関係の中で、ほほえみあいやスキンシップを楽しむことが可能になるのです。

3歳ごろまでの子どもと「安全基地」としてのお母さん

生後5か月ごろから3歳くらいのあいだ、お子さんは少しずつ、自分とお母さんは違う人間なのだということに気がつきます。

多くの場合、自分で移動することや言葉でコミュニケーションをすることが可能になり、お母さんを「安全基地」として、ちょっと外の世界に出かけていきます。

最初は緊張していても、お子さんが少し自分から離れていき、何かあると号泣して戻ってきて、ちょっと落ち着いてまた離れていく、ということがよくありますよね。このときにお母さんがいつも「あわてず、騒がず、落ち着いて」、エネルギー補給基地としてそこで待っていてくれること。それが、「ひとりの人間」として社会に出ていく第一歩を踏み出すこの時期に、とても大きな意味を持つのです。

きずなの確認としてのイヤイヤ期

こうした「安全基地」と相互のきずなができていると、3歳前から一次反抗期、いわゆる「イヤイヤ期」がやってきます。

お子さんは、そろそろお母さんから離れる発達段階になったからこそ、お母さんが自分にとって本当に「安全基地」かどうか確認するために、ちょっとゆさぶりをかけているのです。これはわざとではなく、「自分で何でもやりたい!」と主張したり、ああえばこう言って反発するのに結局うまくいかなくて号泣したり…というような、本人にとってももどかしいプロセスのなかで進んでいきます。

イヤイヤ期の声かけの3つのポイント

イヤイヤ期かなぁと思ったら、まずはこれまで自分が子どもにとっての「安全基地」の役割をうまく担えた証拠だなと思って安心しましょう。声かけのポイントは3つです。

1.ちょっと上から目線(の気分)がコツ
2.求められたときだけ手を貸す
3.失敗号泣のときこそ気持ちをわけあうチャンス

「はいはい、やってるね、好きにしていいですよ」と声をかけ、自分なりにやっているのを見守り、求められればちょっとだけ手を貸してあげます。それで結局ぎゃーっとなったら、「ざんねんだったね」「くやしかったかな」と、お子さんの気持ちを一緒に言葉にしながらスキンシップをとりましょう。

 

イヤーイヤーの連続でしんどい時期は「泣きたいのはわたしのほうだ!」という気持ちになることも多いと思います。

毎回こんな風には思えないかもしれないけれど、しんどいときには時々、「あぁ自分が子どもと築いてきた“きずな”があるぶん、この子は自立しようと思ってもがいているんだなー」、と、少し離れてながめることで、みなさんの一日が少しだけポジティブになったらうれしいです。

 

※ここでは便宜的に養育者を「お母さん」としていますが、その他の人であっても、身近でその子どもを育くんでくれる人にとってのメッセージとして発信しています。

明らかなイヤイヤ期がないお子さんももちろんいます。ひとりひとり、安全基地の確認の方法はユニークですので心配しなくても大丈夫。イヤイヤしないけど、どんなふうにコミュニケーションが変わってきたかな?というところに注目すると、新しい発見があるかもしれません。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお母さんの不安に寄り添えるように情報を発信していきます。

(小児科医 山口有紗