耳に水がたまる? 滲出性(しんしゅつせい)中耳炎ってどんな病気?

公開日: 2019年5月20日

最終更新日: 2026年3月17日

お子さんが耳を診てもらったら、「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」と言われた、という保護者の方も多いかもしれませんね。実は、滲出性中耳炎は小学校に上がる前に90%のお子さんが一度はかかることのある病気です。滲出性中耳炎とはどのような病気でしょうか?風邪の時に併発することの多い「急性中耳炎」とはどう違うのでしょうか?

滲出性中耳炎は、耳管の働きの低下と関係があります。

「中耳炎」と聞くと、一般的には「急性中耳炎」をイメージされる方が多いかと思います。急性中耳炎では、鼻の奥と耳の奥をつなぐ耳管(じかん)を通して,中耳と呼ばれる鼓膜の内側に細菌などが侵入し、炎症が起きます。

一方、滲出性中耳炎は「発熱や耳の痛みなどの急にあらわれる症状はないけれども、中耳の中に貯留液がみられる状態」です。医師からは「耳の中に水が溜まっています」と伝えられることが多いかもしれません。では、どうして耳の中に貯留液がたまるのでしょうか。

その原因は様々ですが、「耳管」の働きの低下と関係していることがわかっています。耳と鼻をつなぐ耳管はただの筒ではなく、周りの筋肉によって管が閉じたり開いたりできるようになっています。この管を開け閉めすることにより、中耳の空間にかかる圧力を調整できるのです。

風邪などで耳管の周りが腫れ、耳管の開け閉めがうまくできなくなると、中耳の空間に強い陰圧がかかり、周囲の細胞から液体が中耳に漏れ出してしまい、滲出性中耳炎が起こります。小さなお子さんでは風邪をきっかけとして発症することが多いですが、風邪以外にも、アデノイド増殖症やアレルギー性鼻炎、胃食道逆流症などとの関連も指摘されています。

他にも、ダウン症などの生まれつき耳管の働きが十分ではないお子さんや、鼻すすりの癖、受動喫煙、おしゃぶり、保育園などで他のお子さんと接触する機会が多いことなどは、滲出性中耳炎が治りにくくなる原因の一つと考えられています。

尚、急性中耳炎でも、中耳に侵入した細菌に対する免疫反応により液体がたまる場合があります。 急性中耳炎については下記の記事もご参照ください。
子どもが風邪をひいて鼻水が多いときは急性中耳炎に要注意!”

放っておくと、難聴や難聴に伴う言葉の遅れにつながることがあります。

滲出性中耳炎は多くの場合3ヶ月以内に自然に治るため、最初はお薬を使わずに様子を見ることもあります。また、飲み薬やステロイド薬の鼻スプレーなどを使うこともあります。

一方で、3ヶ月たっても良くならず、鼓膜の様子が変化していたり、耳の聞こえ具合が悪くなっていたりする場合には、鼓膜にチューブを留置したり、4歳以上のお子さんでアデノイド増殖症がある場合には、アデノイドを切除することもあります。

滲出性中耳炎は痛みや熱がないため症状がわかりづらく、長期間気づかないままでいると、難聴や難聴に伴う言葉の発達の遅れ、また他の耳の病気につながることがあります。

耳鼻科で滲出性中耳炎と診断された場合は、症状がないからといって自己判断で通院をやめたりせず、通院してきちんと治っているかどうかを確認してもらうことが大切です。

こんな症状があったら耳鼻科を受診しましょう。

滲出性中耳炎を疑う症状には下記のようなものがあります。

(1)耳の聞こえが悪い:大きな声でしゃべる,テレビの音が大きい,声をかけても振り向かない、なんども聞き返すなど
(2)耳閉塞感:耳がつまる感じ(ただし、耳閉塞感を訴えられるのは大きなお子さんになります)
(3)耳閉塞感を改善しようとする動作:耳を触ったり、頭をふったり、頭を傾げたりする
(4)言葉の発達が遅い、発音が正しくない

このような症状があったら、一度耳鼻科を受診し、耳の中を確認してもらいましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの耳の病気に関わる疑問を解決するために情報を発信していきます。

<参考文献>
日本耳科学会, 日本小児耳鼻咽喉科学会. 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2022年版.

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