公開日: 2019年7月1日
最終更新日: 2025年2月15日
よくお腹が痛くなるお子さんがいらっしゃいます。痛いと言っていたかと思えば、少し時間がたてばけろっとして遊んでいる、なんてこともありますよね。こうした腹痛をくり返すお子さんの大半は、「機能性腹痛」に分類されると言われています。
機能性腹痛とは重病ではないものの長引く腹痛の総称です
機能性腹痛とは、虫垂炎(ちゅうすいえん、いわゆる盲腸)、膵炎(すいえん)、食物アレルギーなどの何か重大な病気が背景にあるわけではない腹痛の総称です。一回の腹痛自体は比較的すぐに改善しますが、2〜6ヶ月以上にわたって、たびたび腹痛を訴えます。重大な病気がないにも関わらず腹痛が起きる原因としては、脳と腸の密接な関わりが考えられています。ストレスをきっかけにお腹が急に動くことで痛みを感じたり、より弱い痛みも感じやすくなる、などが原因と考えられています。
危険なサインがないか確認しましょう
機能性腹痛自体は緊急の病気ではありません。ただし、本当に重大な病気は隠れていないのか、見落としがないようにしなくてはいけません。以下は長引く腹痛であっても軽んじることなく必ず医療機関を受診していただきたいサインです。
- 体重が減ってきている
- 固形物を飲み込みにくいと言う
- 血便や緑色の嘔吐がある
- 背中も痛いと言う
- 口内炎もできている
- お腹の右上もしくは、右下ばかり痛がる
- 皮膚が黄色くなっている
- 血尿がある
これらのサインがないことを確認したうえで、機能性腹痛を判断します。本当にこれらのサインがないのか、一度小児科で確認してもらうのもよいでしょう。
機能性腹痛を改善するために生活の中で試せることがあります
機能性腹痛の場合、本人は本当に腹痛を感じています。仮病ではありません。改善のため、生活の中で試せることをいくつかご紹介します。
- 誘因を探して、その負担を減らす:学校、習い事などが腹痛の誘因になっていることがあります。
- 腹痛に関してあまり聞かないようにする:保護者が「お腹痛い?」とお子さんに聞いてしまうと、腹痛の頻度が増した、という研究もあります。
- 気を紛らわせる:あえて関係のない会話をする、ゲームや絵本に誘う、などが有効なことがあります。
- 対処法を見つける:リラックスして深呼吸をしてみる、何かポジティブなことをイメージしてみる、などが有効なことがあります。主体的に行動ができる学童期以降のお子さんの場合は、試してみるとよいでしょう。
機能性腹痛の中には過敏性腸症候群などさらに細かい分類がありますが、今回は全体の概要をお伝えしました。少しでもご参考になればと思います。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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