「子どもがよくお腹が痛いと言うけど、学校に行くのが嫌なんじゃないか」
「体がだるいと言うので病院に行ったけれど、とくに異常がないと言われた。ストレスが原因かも?」
子どもの体調不良がストレスによるものではないかと感じると、とても心配になりますよね。この記事では、子どもの体調とストレスの関連について知っておきたいポイントを解説します。
子どもはストレスによる身体症状を起こしやすい
子どもはストレスを感じたとき、自分で解決する力がまだ不十分なため、言葉で表現して誰かに相談することがうまくできません。そのためにストレスをいつの間にか抱えてしまい、「ストレスがある」と話すかわりに、お腹が痛い、頭が痛い、めまいがする…といった体の症状となってあらわれることが珍しくありません。
この状態が続き、保育園や幼稚園、学校に行きにくくなることもあります。症状が続くことに対する不安などから、さらに症状が増幅されることもあります。
ストレスによって体調を崩すときには、胃腸炎のような身体的な病気、友達関係、勉強の負担、誰かの言葉などがきっかけになることがありますが、ベースに子どもの特性や、学校や家庭環境など、様々な要因が影響しており、原因は一つでないことがほとんどです。
ストレスによる症状は一人ひとり違う
人はストレスを受けると、脳の大脳辺縁系から視床下部に影響し、それによって自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系の活動が乱れて様々な体の不調を引き起こします。
朝がつらい、眠れない、体がだるい、頭痛、食欲低下、腹痛、吐き気、便秘や下痢といった症状がよくみられますが、ストレスによる症状は決まったものがあるわけでなく、年齢や個人による差も大きいです。
また喘息やアトピー性皮膚炎などの病気や、おねしょ、肥満などもストレスで悪化することがあります。
「よくお腹が痛くなるお子さんは機能性腹痛かもしれません」の記事もご覧ください。
「いろんな症状」「日によって変わる」はストレスの関与かも
ストレスが関与している可能性がある場合、以下のようなサインが見られることがあります。
・症状の場所や程度が変わりやすい
・いろいろな種類の症状がある
・訴える症状の割には、困っている様子が強くない
・曜日や時間によって症状が変わる
・園や学校を休むと症状が軽くなる
・診察や検査結果が症状と一致しない
たとえば、学校のある平日の朝に症状が悪化する、昨日はお腹が痛いと言っていたのに今日は頭痛を訴える、といったことが挙げられます。
このような特徴があるときは、ストレスの関与を考えてみる必要があるかもしれません。ただし、体の病気が隠れていないかどうかを必ず確認する必要があります。
「朝起きられない、学校への行き渋りー自律神経機能の低下が原因かも?」の記事もご覧ください。
子どもはみんなストレスを受けながら成長しており、どの子どもにも起こり得ることです。お子さんの心と体がしんどいのかな?というサインをキャッチしたら、小児科に相談してみてくださいね。
<参考文献>
・村上佳津美;こころのストレスと身体の相関 小児科診療 82(10): 1251-1257, 2019.
・大谷良子;不定愁訴はなぜ増加しているか? – その背景因子 小児内科 53(5): 727-732, 2021.
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(小児科医 梶原 佑子)