最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
食物アレルギーの診断には、アレルギーが疑われる食物を実際に食べて症状がでるかどうかを確認する食物経口負荷試験(以下、食物負荷試験)が重要です。(「正しく理解!食物アレルギーの検査」も参照してください。)今回は食物負荷試験がどんな検査なのか解説します。
食物負荷試験は食物アレルギーの診断のため、または安全に食べられる量を知るために行います
食物アレルギーが疑われる場合、食物の摂取歴(どんな調理方法や食品で、どれぐらいの量を食べてきたのかなど)、アレルギーの症状歴(どんな状況でどんな症状が出たことがあるのかなど)、血液検査の結果などをふまえて、食物負荷試験が必要かを考えます。
食物負荷試験の目的は、
(1)食物アレルギーの診断のため(食後に症状が出てどの食物が原因かわからない場合や、食べたことはない食物であるが血液検査で陽性の場合など)
(2)すでに食物アレルギーと診断されているが、現在安全に食べられる量を知るため(少量でも食べられる量を知りたい場合や、年齢が大きくなって治っている可能性がある場合など)
があります。目的に応じて、食物負荷試験の時期、食べる食品の内容と量を決定します。
食物負荷試験では鶏卵のアレルギーであれば固ゆで卵などを食べることが多いです
鶏卵なら固ゆで卵、乳なら牛乳、小麦ならうどんなど、タンパク量がわかっていて基準にしやすいもので食物負荷試験を行うことが多いです。
食物負荷試験中は原則的に他の食品を食べることはできませんが、食物負荷試験をする食品を食べやすくするために調味料などを使うことは可能です。
また、お子さんが嫌がると無理やり食べさせることはできないので、お子さんの年齢に応じて事前に食物負荷試験のことを説明して、不安を軽減してあげましょう。
食物負荷試験は日帰りの場合と入院の場合があります
お子さんの食物アレルギーの重症度などに応じて、日帰りの場合と入院の場合があります。
検査当日は、まず体調や体温など確認して問題がなければ、決められた量の食物を食べてもらいます。1回で全量を食べる場合もあれば、複数回に分けて食べる場合もあります。複数回に分ける場合は、20~60分おきに、量を徐々に増やして食べることが一般的です(例:固ゆで卵1個を3回に分けて食べる場合、1回目に1/8個、30分後の2回目に3/8個、さらに30分後の3回目に1/2個を食べる)。
途中で症状が出たら、食べるのを中止して、飲み薬や吸入薬、注射薬など必要な治療を行い、状態が安定するまで経過観察となります。
症状が出ないかどうかは、食物が十分に消化吸収されるの待つ必要があるため、食べてから2時間程度は経過を見ます。よって症状が全くでない場合でも、食物負荷試験全体で3〜4時間かかることが一般的です。
食物負荷試験終了時に医師から結果が伝えられます
食物負荷試験終了時に結果の判定が伝えられます。症状が出なければ「陰性」、症状が出たら「陽性」、口の周りが少し赤くなっただけなど微妙な場合は「判定保留」となります。数時間~1日遅れて症状が出ることもあるので、終了後の経過も合わせて、その後の食品の食べ方や次の食物負荷試験の必要性などを担当医と相談しましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 小笠原久子)