アナフィラキシーを疑ったらすぐに病院へ!

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

アレルギーに関して調べると、重症の反応として「アナフィラキシー」という用語を見かけるかと思います。アナフィラキシーとはどのようなもので、症状や起こした時にどんな点に注意すべきかを解説します。

アレルギー症状が2つ以上起こるとき、アナフィラキシーの可能性があります

アナフィラキシーとは、アレルゲン(食物や薬物、蜂刺されの毒などの原因物質)が体の中に入ることで、急激に(多くは数分から2時間以内)2つ以上の臓器(皮膚、肺、心臓、胃腸)にアレルギー症状が起こり、命の危険を伴う可能性がある全身性の反応です。

具体的には、以下のようなアレルギー症状が出現します。

(1)皮膚の症状:全身の発疹やかゆみ、赤み
(2)肺などが関わる呼吸の症状:息苦しい、ゼーゼーする、咳込む
(3)心臓などが関わる循環(血の巡り)の症状:血圧が下がりぐったりする、手足や唇の血色が悪い、意識が悪くなる
(4)胃腸の症状:嘔吐、下痢、腹痛

皮膚または粘膜症状+気道・循環器・重度消化器症状のいずれか1つ以上がみられる場合、または アレルゲンに曝露され、血圧低下または重度の呼吸器症状がある場合に、アナフィラキシーと診断されます。

(厳密には、どのようなアレルゲンがきっかけとなったか、過去にアレルギーの診断を受けたことがあるかなども考慮して診断されます。)

アナフィラキシーで起こっていることは全身あちこちの”むくみ”

アレルギーの原因物質(アレルゲン)が体に入ると、体の中でその物質に対するIgE抗体が作られます。

作られたIgE抗体は、細胞の膜にくっついています。もう一度同じ物質が体に入ると、膜にくっついていたIgE抗体と反応して細胞の中にある物質(主にヒスタミン)がたくさん放出されます。

ヒスタミンが急激にたくさん出ると、全身性の”むくみ”を起こします。そのむくみの影響で、上に書いたような全身あちこちの様々な症状があらわれるのです。

アナフィラキシーを疑ったら速やかに医療機関を受診しましょう

アナフィラキシーは命の危険を伴う状態ですので、緊急に治療が必要です。仮に、いったん症状が良くなったと思えても、時間をおいて再度症状が出ることがあります(二相性反応と呼ばれます)。アナフィラキシーを疑ったら、必ず速やかに医療機関を受診しましょう。

また、アナフィラキシーのときに体を動かすと症状が悪化することがあります。

症状からアナフィラキシーを疑うときには、体を必要以上に動かさずに楽な姿勢で安静にしましょう。寝ている状態から急に起き上がり歩くだけでも、血圧が下がってしまうこともあります。ぐったりしているときには横にしたまま、救急車を呼びましょう。

じんましんなど皮膚の症状を抑えるための飲み薬(抗ヒスタミン薬)は、皮膚の症状以外(上記アレルギー症状の(2)~(4))には効きませんし、予防にもなりません。かかりつけ医から、食物アレルギーの緊急用などで飲み薬を処方されていても、アナフィラキシーを起こした場合は、受診が必要です。

食物アレルギーで緊急用に処方されている薬を使用するタイミングや受診の目安は、各自治体などで紹介されているものや、独立行政法人環境再生保全機構の「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」などがわかりやすいので、いつでも確認できるようにしておきましょう。

お子さんにアレルギー症状が出たのでは?と不安になるときには、かかりつけ医に相談しましょう。その症状がアレルギー症状なのか、何に反応したのか、アナフィラキシーではなかったか、などを確認すると良いでしょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギー、救急に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 竹下淳子

SNSでシェア