こどもの食物アレルギーの発症予防、その方法は誤解です!

こどもがアレルギーにならないように、ミルクじゃなくて完全母乳にして、離乳食はなるべく遅らせた方がいい・・・などと聞いたことがあるかもしれません。本当にそうする必要があるでしょうか?今回は食物アレルギー発症の予防にまつわる誤解についてお伝えします。(「発症の予防」とすでにアレルギーがあることがわかっている人が「症状が出ないように気をつけること」は異なります。今回は「発症の予防」のお話です。)

妊娠中・授乳中に特定の食品を食べないようにしても食物アレルギーは防げません

妊娠中は胎盤を通じて、授乳中は母乳を通じて食物の成分が赤ちゃんに伝わります。そのため、赤ちゃんの食物アレルギー発症予防のために、妊娠中・授乳中は原因となる食物を食べないようにすることがかつては推奨されていました。しかし、実際にはお母さんが妊娠中・授乳中に特定の食物を除去しても赤ちゃんの食物アレルギーの予防にはならないことがわかってきました。それどころかお母さんや赤ちゃんに栄養障害を起こす可能性があり、現在はアレルギー発症予防のために妊娠中・授乳中に食物の除去をすることは推奨されていません。バランスよく食事を摂ってお母さん自身が健康であるようにしましょう。

食物アレルギーとは関係なく、妊娠中の食事で注意すべきもの(魚介類、カフェイン、ナチュラルチーズなど)はあります。詳しくは、産婦人科オンラインジャーナルの記事「食べ物からお腹の赤ちゃんにうつる感染症(1)トキソプラズマ」「食べ物からお腹の赤ちゃんにうつる感染症(2)リステリア」や、厚労省や自治体のお知らせなどを確認しましょう。

完全母乳栄養でも食物アレルギーは防げません

ミルクより母乳の方が赤ちゃんがアレルギーになりにくい、と聞いたことがあるかもしれません。しかし、様々な研究の結果から、母乳がアレルギーの発症予防になる、ということは証明されていません。よってアレルギー発症予防のために無理して完全母乳にする必要はありません。もちろん、母乳にもミルクにもそれ以外の様々なメリットがあるので、お母さんと赤ちゃん、家庭の状況に応じて母乳、ミルクを使い分けましょう。

また、以前は加水分解乳(低アレルゲンミルク)が乳アレルギーの発症予防によいとされていましたが、最近では予防効果がないことがわかってきています。下痢・嘔吐や体重が増えないなどの症状がない限り、高価な加水分解乳を与える必要はありません。

離乳食を遅らせても食物アレルギーの予防にはなりません

かつては食物アレルギー予防のために1歳までは乳製品除去、卵は2歳までは除去、など遅らせて開始することが推奨されておりました。しかし、近年の研究で特定の食物の摂取開始を遅らせても食物アレルギーの発症を予防できないことがわかってきています。卵については、2019年の授乳・離乳支援ガイド(厚労省)では卵黄を生後5-6ヶ月から試してみる、との記載に変わりました。極端に早める必要はありませんが、母子手帳の「離乳食の進め方の目安」を参考にして月齢に沿った食材を食べ進めていきましょう。

ただし、アトピー性皮膚炎があるお子さんなど食物アレルギーのリスクのあるお子さんは、食べ始めからアレルギー症状が出る可能性があります。そういった場合は、始めるタイミングや量についてアレルギー専門医と相談しましょう。

 

では食物アレルギーにならないためにはどうしたら良いのか?と思われたかもしれません。残念ながら、現時点では、これをやったら確実に食物アレルギーの発症を予防できる、という方法はありません。スキンケアで赤ちゃんの皮膚をきれいな状態を保つことやプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌に代表される腸内細菌のこと)などがアレルギー発症予防につながる可能性はあり、様々な研究が行われています。今後、新しいことがわかっていくことに期待しましょう。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子