小学校入学前にぜひとも接種しておきたい3つのワクチン

最終更新日: 2024年4月3日 by syounikaonline

小学校は、お子さんにとって本格的な集団生活の始まりです。ぜひ一度、就学前に打つべきワクチンについて確認しておきましょう。就学前に接種することで、より高い予防効果を発揮できる3つのワクチンについて、その大切さを説明します。

1. MRワクチンの2回目

MRワクチンは麻疹、風疹を予防するワクチンです。通常1歳になったら1回目を打ち、小学校入学前に2回目をもう1度打つ、定期接種のワクチンです。

麻疹は、全身の皮疹、発熱、咳などの症状の他、特に乳児では、肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症で重症になることがあります(1)。

風疹は、皮疹や発熱の原因となる他、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、赤ちゃんの眼や耳、心臓の構造などに生まれつきの問題を起こす原因となります(先天性風疹症候群)(2)。

また、麻疹と風疹どちらも、かかってしまった場合に使用できる抗ウイルス薬のような治療薬はありません。2回接種をすることでより高い予防効果を得られるので、ここで2回目を確実に打つことが重要です(3)。

2. おたくふくかぜワクチンの2回目

おたふくかぜワクチンは、1歳になったら1回目を打ち、就学前に2回目を打つことが推奨されるワクチンです。感染すると、耳の下にある耳下腺という組織が腫れることがあります。耳下腺の腫れは自然に治ることが多いです。しかし、それだけでなく、難聴を後遺症として残したり、髄膜炎、精巣炎、膵炎などの合併症を起こすこともあります。おたふくかぜワクチンは1回接種よりも、2回接種の方が予防効果を高められることが知られています(3)。

日本の制度では、おたふくかぜワクチンは定期接種に含まれないため自費となってしまいますが、その効果は世界中で認められているものです。

小学校入学前に2度目を打ち、ウイルスによる後遺症、合併症からお子さんを守りましょう。

おたふくかぜについては「難聴の危険性もあるおたふくかぜ」の記事もご参照ください。

3. 四種混合の5回目(実際の接種は三種混合+ポリオワクチン)

四種混合ワクチンはジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオの4種類に対するワクチンです。通常生後3か月から1歳半頃までに4回打つ定期接種のワクチンですが、2018年8月から、就学前に追加の5回目接種が推奨されています。

現在の日本の制度では、四種混合ワクチンそのものを5回目として打つことができないため、代わりに三種混合ワクチンとポリオワクチンを組み合わせて打つことになります。追加接種について詳しくは「就学前のお子さんに三種混合とポリオワクチンの5回目接種を!」をご参照ください。

なかでも百日咳は、長く激しく続く咳が特徴で、4回接種をしたお子さんでも、時間が経つと抗体が減ってしまうため、発症することがあります。そこで就学前に5回目の追加接種をすることで、抗体を増やし、就学後のお子さんを守ることに繋がります(3)。また、百日咳は赤ちゃんから大人まで誰でも感染します。特に3か月未満の赤ちゃんに感染すると、呼吸困難の症状が強く入院治療を要したり、脳症などの合併症を起こすことがあるので、とても注意が必要な感染症の一つです。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの予防接種、感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 上野淳奈

参考文献

(1)Robert M. Kliegman. Nelson Textbook of Pediatrics. 20th ed., Elsevier, 2015, 1544 p.

(2)Laura E. Riley. Rubella in pregnancy. In: UpToDate, Post TW(Ed), UpToDate, Waltham, MA. (Accessed on October 18, 2021)

(3)日本小児科学会:日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」(日本版Vaccine infomation statement (VIS)).

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