ビタミンK2シロップは何のため?〜飲ませ方と困った時のQ&A〜

赤ちゃんのお誕生おめでとうございます。退院時にビタミンK2シロップを処方され、飲ませる理由や回数が気になっていませんか。今回はビタミンK2シロップについて、その必要性などについてご紹介します。

ビタミンK2シロップは赤ちゃんの出血性疾患を予防します

ビタミンKは、血液が凝固するのを助けるビタミンです。本来食事から摂ったり、腸内細菌によって作られますが、母乳には含まれる量が少ないことや、腸内細菌が未熟であると作られる量が少ないなどの理由で、赤ちゃんは不足しがちです。

ビタミンKが不足すると、新生児期や乳児期に出血する病気を発症することがあります。特に生後3週間から 2ヶ月頃の乳児期に起こる出血は、80%以上が頭の中で起こるので、予防が大切です。

ビタミンK2シロップを飲んでいても、胆道閉鎖症など胆道の病気がある場合は、腸からのビタミンKの吸収が悪くなります。赤ちゃんのうんちの色がその病気を疑うサインになるため、母子(親子)手帳の「うんちの色に注意しましょう」と書かれたカラーの「便色カード」で便をチェックしましょう。

赤ちゃんのうんちの色については「赤ちゃんのうんちの色からわかること」も参考になさってください。

飲ませる回数には3回法と3ヶ月法があります

これまで

(1)生まれて母乳やミルクが飲めるようになったらすぐ
(2)退院時もしくは生後1週間の時
(3)1ヶ月健診の時

に内服する、「3回法」が主流でした。これにより、ほとんどの赤ちゃんは出血性疾患を予防できます。

しかし、ごく稀に3回法でも重篤な出血性疾患を起こすことがあります。現在は家庭用のビタミンK2シロップが販売されるようになったこともあり、生後3ヶ月になるまで週に1回、計13回飲む「3ヶ月法」が推奨されています。

人工乳にはビタミンKが含まれるため、1ヶ月頃に人工乳での授乳が多くなっている赤ちゃんは、1ヶ月健診以降ビタミンK2シロップを中止することもあります。

飲ませ方を間違った時はこうしましょう!

(1)毎日飲ませていた

ビタミンK2シロップを数日続けて飲んだことによって悪い影響が起こったという報告はこれまでありません。今後、1週間に1回にしましょう。

(2)飲み忘れてしまった

まず、思い出した日に飲むようにしましょう。その次は、決まっていた曜日に戻して飲んでも構いませんし、思い出した日から1週間ごとに飲むようにしてもよいでしょう。

(3)飲んですぐ吐いてしまった

一度飲み込んでいれば、再度飲む必要はありません。また次の週に飲みましょう。

飲み込まずにほとんど吐いてしまった場合は新しいものを飲ませましょう。

(4)飲ませる前にこぼしてしまった

新しい個包装をあけて飲ませましょう。

 

どの場合であっても3ヶ月まで足りなくなった場合は、追加が必要かどうか、1ヶ月健診や 2ヶ月以降の予防接種受診などで相談すればよいでしょう。

 

母親がビタミンKを多く含む食品を食べると、母乳中のビタミンKの量も増えます。母乳育児の方は納豆、緑葉野菜などを意識して食事をするといいですね。
母親や赤ちゃんが飲んでいる薬や、生まれた時の体重、赤ちゃんに病気があるかなどでビタミンK 2シロップの量や回数が異なる場合があります。記事と異なって気になる点は主治医に確認しましょう。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの栄養に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 金澤結

 

 

 

参考文献

早川昌弘ら.新生児・乳児ビタミン K 欠乏性出血症に対するビタミン K 製剤投与の現状調査.日本小児科学会雑誌 125(1):  99-101, 2021.

白幡聡.ビタミンK欠乏症の臨床.血栓止血誌 18(6): 584-587, 2007.

日本小児科学会:新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言.(2022年2月7日アクセス)

日本小児科学会:新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版).(2022年2月7日アクセス)

日本小児科学会:新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防法に関するQ&A(医療者・保護者向け).(2022年2月7日アクセス)

日本産婦人科医会:新生児の出血性疾患予防のためのビタミン K 投与法について.(2022年2月7日アクセス)