ぜんそくは検査で診断できるの?~ぜんそくが疑われたときに行う検査〜

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

気管支ぜんそく(以下ぜんそく)では「咳・喘鳴(ぜんめい)を繰り返す、夜間や早朝に起こる、気管支拡張薬が効く、アレルギーの家族歴がある」などの病歴が診断に重要です。

病歴からぜんそくが疑われた場合には、以下の検査をもとに診断をしていきます。

レントゲンや内視鏡で、喘息以外の病気が隠れていないか確認します

肺炎や気道異物、腫瘍、心不全などがあると咳や喘鳴、呼吸苦などぜんそくと似た呼吸器の症状を起こすことがあります。レントゲンやCTなどの画像検査で、これらの病気が隠れていないかを確認します。

また、ぜんそくと間違われやすく、ぜんそくと合併することもある声帯機能不全(vocal cord dysfunction, VCD)が疑われた場合には、のどの内視鏡検査を行うこともあります。

ぜんそく以外の病気ではないことを確認することは、ぜんそくの診断に大変重要です。症状・治療の経過、緊急度、検査のリスクを踏まえて必要な検査を行います。

血液検査や皮膚検査で、アレルギー体質かどうかを調べます

ぜんそくはアレルギーの病気の一つなので、以下の検査でアレルギー体質であるかどうかを調べます。(これらに異常がなくてもぜんそくのことはありますが、診断の参考とします。)

    血液検査
血液検査でポイントとなるのは、以下の3つの数値です。

  • 総IgE:いわゆるアレルギーの抗体「IgE」の全体的な数値。
  • 特異的IgE:ダニ、カビ、ペットなどの特定のアレルギーの原因物質に対するIgE抗体。
    (「食物アレルギーの血液検査「特異的IgE抗体検査」の解釈」を参照)
  • 好酸球数:白血球の成分の一つ。アレルギーの病気に関わることが多い。

    皮膚検査

  • 皮膚プリックテスト:アレルギーの原因となる物質を皮膚に乗せて針で押しつけて、腫れるかどうか確認する検査。
    (皮膚プリックテストについては「正しく理解!食物アレルギーの検査」を参照)

    呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)

  • ぜんそくで気道の炎症があると高くなる値。専用の機械をくわえて数秒息を吐くことで測定できます。

呼吸機能検査で、肺活量や息を吐く速さをはかります

呼吸機能検査は、スパイロメータという機械で、マウスピースをくわえて、大きく息を吸えるだけ吸って、ふーっと強く長く息を吐ききることで測定できます。5歳以上で検査可能とされています。
(難しいので、慣れていないとなかなか上手にできないこともあります。)

この検査で肺活量や息を吐く速さを測定できます。ぜんそくがあると気管支が狭くなり息が吐きにくいので、息を吐くスピードが遅くなります。

さらに詳しい検査をする場合、気道可逆性試験や気道過敏性試験などで呼吸機能を測定することもあります。

ぜんそくは何か一つの検査の結果がこれだからぜんそく!、と診断できるものではありません。
年齢や症状・治療の経過、上記の検査を組み合わせて総合的に診断します。

ぜんそくの薬を続けているのに咳やぜーぜーがよくならないような場合は、詳しい検査が必要かもしれません。アレルギー専門医に相談してみましょう。
(”ぜんそく発作は予防が一番”、”「小児ぜんそくの基本の「き」”も参考にしてください)

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんのアレルギーに関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小笠原久子

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