最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
お子さんにも、大人と同じように、原因となる病気がない頭痛があります(「こどもにも頭痛はあるの?『頭が痛い』と言ってきたときに考えること」)。
これは一次性頭痛と呼ばれ、代表的なものに、片頭痛と緊張型頭痛があります。
今回は小児の一次性頭痛の中で、最も頻度が多い片頭痛について、ホームケアと薬物治療を中心にお伝えします。
片頭痛は、小児科で診断を受けましょう
まず前提として、お子さんに生活に支障が出るような程度の頭痛が複数回起こる場合は、すぐに片頭痛と決めつけず、病気が隠れていないか一度小児科の受診をお勧めします。
片頭痛には国際頭痛分類による診断基準があります。今後のケアのためにも、まず、何か大変な病気では?というお子さんの不安を軽減することが重要です。そして、片頭痛と診断されると、対応と治療が明確になります。
片頭痛の予防には、規則正しい生活リズムや誘因への対応が大切です
小児の片頭痛予防のための、薬物を使わないホームケアは次の通りです。
①生活リズムを整えましょう。
特に睡眠不足/過多は片頭痛が起こりやすい原因のため、休日も平日と同じリズムを崩さないことが重要です。1日3食、食生活を整えることも予防に繋がります。
②運動を定期的に行いましょう。
適度な運動は慢性頭痛の予防になります。日本頭痛学会のHPには、頭痛体操の方法もありますので(以下リンクもご参考にされてください)毎日少しずつ、行なうことをお勧めします。
③頭痛を引き起こす誘因を見つけましょう。
具体的な誘因としては、精神的ストレス(緊張、疲れ)、環境(天候、温度差、炎天下、激しい運動、人混み、におい)、食事(空腹:低血糖、チョコレート、チーズ、食品添加物)、月経周期などが挙げられます。誘因を見つけて、うまく対応することが頭痛の予防になります。
片頭痛の発作時には、十分な強さの薬を使いましょう
生活に支障が出るような強い片頭痛に対しては、薬物治療が必要です。
薬物治療の最初の段階は、発作時の治療です。片頭痛発作時は、十分量の薬をできる限り早く使用する必要があります。薬を内服した後は、効果が出始めるまで30分程度かかるため、静かな暗い部屋でゆっくり休むことが勧められます。
このため学校で頭痛があるお子さんは学校に1回分を持参し、学校側と発作時の対応について相談しておくことも必要です。小児科では主に、解熱鎮痛薬であるイブプロフェン、アセトアミノフェンが使用されます。
あらかじめ頭痛発作が起きないように毎日薬を内服する予防療法は、発作時の鎮痛薬使用が1月に6-10回を超える場合や、頭痛と一緒に毎回嘔吐してしまうなど、症状が重く生活に支障が大きい場合に考慮します。
そのため、症状の程度を整理するために、頭痛の治療中は頭痛ダイヤリ―を記載し、主治医と相談していくことが勧められます。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
小児科オンラインはこれからもお子さんの頭痛に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。
(小児科医 竹田加奈子)
参考文献
・日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会、頭痛の診療ガイドライン2021
・国際頭痛分類第3版(ICHD-3)
・小児心身医学会ガイドライン集改訂第二版、2015年
・日本頭痛学会、頭痛体操:https://www.jhsnet.net/pdf/zutu_taisou.pdf
・日本頭痛学会、頭痛ダイヤリ―:https://www.jhsnet.net/pdf/headachediary.pdf