赤ちゃんの便の色が「だんだんうすくなってきた」は、要注意!

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

生後2ヶ月以内のお子さんの便の色がうすくなってきた場合には、精密検査を必要とすることがあります。

(うんちの色については「赤ちゃんのうんちの色からわかること」も参照ください。)

便の色がうすくなるのは、胆汁うっ滞の可能性があります

乳児早期、特に生後2ヶ月までの間に「便の色がうすくなる」とはいったいどのような状態なのでしょうか。

これは胆汁がうっ滞している可能性があります。
胆汁うっ滞が起こると皮膚が黄色くなる黄疸になりますが、赤ちゃんの皮膚の色で黄疸かどうかを見極めるのはとても難しいです。そこで便の色が重要になります。

少し詳しく解剖学的なお話をすると、肝臓の細胞で作られた胆汁という黄褐色の消化液は、肝臓の中にある肝内胆管を通り、肝臓の外に出ていったん胆のうに集められ、その後総胆管を通って十二指腸に排泄されることで、その後小腸で栄養の吸収に関わります。

便の色はこの胆汁の中に含まれる成分の色です。まれに生後すぐの便の色が黄色であったにもかかわらず、生後1ヶ月頃にかけて次第に色がうすくなり白っぽい便に変化していくお子さんがいます。
これは胆汁の通り道のどこかに問題が生じて、腸管に胆汁が出にくくなっている可能性があり、これを「胆汁うっ滞」と表現します。

胆道閉鎖症とは、生後2ヶ月までの間に、胆汁うっ滞で発症する病気です

生後2ヶ月以内のお子さんに胆汁うっ滞がみられた場合、最も重要なのは、胆道閉鎖症か否かという点です。それは早期に治療を開始すれば予後が良好であり、逆に診断と治療が遅れると予後が不良となってしまうからです。

肝臓の外にあり十二指腸に胆汁が入るまでの間の胆管を肝外胆管といいますが、この部分が生後次第に詰まってしまい機能しなくなっていってしまうのが胆道閉鎖症です。

進行すると肝臓の内部も障害を受けますが、早期に治療すれば、もともとは肝臓の内部には問題がないので、肝臓の機能としては予後良好ということになります。

この早期治療開始の目安が生後2ヶ月以内と呼ばれています。治療は手術になるのですが、術前に様々な検査の必要性があることを考えると、便の色がうすくなってきたときは、遅くとも生後1ヶ月~1ヶ月半までの間には医療機関を受診してください。

胆道閉鎖症の早期発見と早期治療のために、便の色をよく見ましょう

生後2ヶ月くらいまでは毎回便の色をしっかりと観察してください。

濃い黄色や緑色であれば問題ありません。白色であればもちろん、淡い黄色やレモン色の便は要注意の状態です。(このほか、胆汁うっ滞とはあまり直結しませんが、黒色や赤色も要注意の便色です。)

最近では便の色をみるためのアプリも開発されているようですが、母子手帳の中にも便色カードが入っていますのでぜひ活用してみてください。私の恩師は、便色はなんとなくで判断せず、必ず便と便色カードを近くにならべて見比べるようにと口をすっぱくして話していました。

便色がうすいと判断することが複数回あったら、なるべく早く医療機関を受診し、まずは胆汁うっ滞の有無についてしっかりと診てもらってください。

検査では、まず肝臓の外と内部のどちらが原因になっているのか、調べます

実際に血液検査で胆汁うっ滞が証明された場合、胆道閉鎖症をはじめとする肝臓の外に原因があるのか(肝外胆汁うっ滞)、新生児肝炎など肝臓の内に原因があるのか(肝内胆汁うっ滞)のどちらであるのかを調べる必要があります。

検査はさまざまで、口から十二指腸近くまで管を通して実際に胆汁色の消化液が確認できるかどうかを調べたり、胆道シンチグラフィーという体内で胆汁と同じ動きをする検査薬を血管内に入れて画像検査をしたりします。

そして原因が肝外にあるのか肝内にあるのかどうかを見極め、胆道閉鎖症がやはり疑わしければ、直接胆道造影検査というより詳しい(けれども体に負担のある)高い検査に進むことになります。

便の色がうすいかもと思ったら、まずは写真を撮ってかかりつけ医に見せてみてくださいね。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの便や肝臓に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 塩畑健

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