NICU・GCUの退院基準とは?

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

思いがけず早産になってしまったり、出産時に赤ちゃんの具合が悪くてNICUに入院になったりすると、とても不安ですよね。

赤ちゃんはどのような状態になったら退院できるのでしょうか?

NICUに入院する理由は様々

NICUに入院する大きな理由に、早産や低出生体重児であることがあります。

在胎37週未満でお生まれのお子さんは、早産児と言われ、体の各臓器にまだ未熟な部分が多いです。成熟度には個人差があり、在胎35週を超えてくると入院せずに済む赤ちゃんもいますが、在胎週数が早いほど未熟性が強いです。
例えば呼吸が未熟なために肺が成熟するまで人工呼吸器を必要としたり、消化が未熟なために哺乳ができず、胃管と呼ばれる人工的なチューブを介した栄養が必要な赤ちゃんもいます。

また、体重が2500gに満たないお子さんは低出生体重児と言われ、体重が小さいほど臓器の機能が十分ではなく、哺乳や体温調節などに医療サポートを必要とすることが多いです。

その他、先天的な疾患を抱えていたり、出産時に胎内から胎外への環境にうまく適応できないと、一時的に医療サポートを必要とすることもあります。

退院は体重や日数で決まるものではなく、自宅で安心してお世話が出来るようになることが目安

赤ちゃんはNICUに入院したとしても、生まれてから日数が経つと少しずつ成熟し、医療サポートの必要具合が減ってきます。また、生まれてから一過性に体重が減少しますが、徐々に体重が増え、体も大きくなってきます。

退院については体重等が目安になることがありますが、明確な基準があるわけではありません。退院には人工呼吸器や点滴など、医療サポートが必要ないように体調が安定することも大切ですが、親御さんが赤ちゃんのお世話をできるようになったかどうかも大変重要です。
親御さんがご自宅でお子さんに安定して哺乳させることができる、おむつ替えや内服や処置など、看護師から十分に習って自宅でも行うことが可能である、などが退院の目安になります。

おおよそ出産予定日〜予定日より1ヶ月程度経過するとお子さんの体調も安定し、親御さんも慣れてくることが多いのですが、あまりに早産であったり、重症度が高いお子さんはもう少し時間がかかることもあります。

退院後も酸素や栄養チューブなどの、医療的ケアが必要なお子さんも

お子さんの状態によっては、酸素投与や胃に入っている栄養チューブ、内服薬や浣腸行為などの医療的ケアが長期間必要になるお子さんもいます。例えば、酸素投与の場合は自宅で持続的に酸素の投与ができるように医療スタッフ、家族、酸素業者等が綿密に打ち合わせして、退院練習を行います。

その他の医療行為もスタッフが丁寧に指導し、親御さんが自宅で行えることが確実になった段階で退院の日の調整を行います。

生まれた赤ちゃんがNICUに入院してしまい大変ショックかもしれません。一方で、お子さんは回復と共に日々成長していきます。
毎日不安と隣り合わせかもしれませんが、しっかりお子さんの成長を見守ってあげましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの発達に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 梶原久美子

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