3歳児健診では、尿検査(3歳児検尿)がありますよね。「尿検査は何のために調べているの?」「どうやっておしっこをとったらいい?」についてご説明します。
3歳児検尿では血尿・蛋白尿・尿糖を検査
3歳児検尿は1961年に開始され、現在ではほぼすべての自治体で行われている日本独自の集団検尿システムです。概ねどこの自治体でも、検査項目は血尿・蛋白尿・尿糖です。
3歳児検尿の最大の目的は、先天性腎尿路異常を見つけること
3歳児検尿は、学校検尿と同様に糸球体腎炎や糖尿病の早期発見という目的もありますが、先天性腎尿路異常を見つけることを最大の目的としています。
先天性腎尿路異常とは、「腎臓」とおしっこの通り道である「尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)」に起こる病気です。多くの場合、 お母さんのおなかの中で各臓器が作られていく過程で、「腎臓」や「尿路」の形や働きが適切に作られなかったことが原因です。
先天性腎尿路異常は、小児で透析導入となる末期腎不全の最も多い原因(約30%)です。その異常を早期発見し、適切な治療を行うことで、腎不全に伴う低身長などの合併症を防ぐことができます。
自分でおしっこができる場合とできない場合の採尿方法
多くのお子さんが2〜3歳でトイレトレーニングを始めるため、健診の段階で採尿に困ることも多いと思います。ここでは、正しい採尿方法をお伝えします。
<すでにおしっこを自分でできる場合>
- 前日お風呂でおまたをきれいに洗う
- 寝る前にトイレに行く
- 朝起きたらすぐにトイレに行く
- おしっこの出だしからではなく、途中のおしっこをとる
<まだおしっこを自分でできない場合>
自治体によっては昼間のオムツが外れてから持参するよう指示される場合があります。
しかし、日程が決まっていて採尿がどうしても必要な場合は、以下のようにとりましょう。
- 前日お風呂でおまたをきれいに洗う
- 寝る前にオムツ交換する
- オムツ→ラップ→脱脂綿の順に敷く
- 朝起きてすぐに脱脂綿をしぼってとる
採尿ができなかった場合も、健診中におしっこが出ればその場で検査を受けても構いません。
3歳児検尿で異常を指摘されても、その多くは問題ありません。しかし、ごくまれに腎機能が悪化して腎不全に至る病気が見つかることもあります。健診で受診をすすめられた場合には、放置せずに医療機関を受診しましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 荒木 潤一郎)