先天性腎尿路異常 (Congenital Anomalies of the Kidney and Urinary Tract: CAKUT)って?

書いた人

中谷 諒

小児科医

お子さんがおしっこの感染症(尿路感染症)を起こした場合には、「おしっこが逆流していないかどうかの検査をします」と言われることがあるかもしれません。

おしっこが逆流する状態を含む、先天性腎尿路異常(CAKUT)について解説します。(尿路感染症については「赤ちゃんの尿路感染症ってなに?!」もご覧ください)

「おしっこの逆流」は、おしっこの感染症の原因の一つ

通常おしっこは両方の腎臓で作られ、尿管という管を通って膀胱に溜められ、尿道から出ていきます。

おしっこを出そうとするときに、おしっこが膀胱から尿管へ逆に流れてしまう状態のことを膀胱尿管逆流 (VUR)と呼びます。お子さんがおしっこの感染症を起こした場合には、しばしばVURを伴っていることがあります。VURは先天性腎尿路異常(CAKUT)のうちの1つで、生まれつきの腎臓や尿路の異常になります。

VURについては、経過観察可能であるものから手術が必要になるものまであり、詳しい画像の検査で診断することになります。

「おしっこの逆流」以外にも様々な病気があります

CAKUTは様々な病気の総称です。VURのほかには、腎臓の大きさが小さい「低形成腎」、腎臓に違う組織が混じっている「異形成腎」、2つあるはずの腎臓が1つしかない「腎無形成」、たくさん袋状の構造ができてほとんど腎臓の機能がない「多嚢胞性異形成腎」、腎盂(じんう:おしっこが集まる場所)が広がっている「水腎症」などがあります。

いずれも生まれつきの病気であり、胎児エコーで疑われている場合も少なくありませんし、VURのようにおしっこの感染症をきっかけに見つかることもしばしばあります。

それぞれの病気によって治療法が異なることがありますので、まずは腎臓を専門とする小児科の先生を受診しましょう。

遺伝子の異常が、原因になることもあります

CAKUTの原因はまだ分からないものも多く、遺伝だけでなく、環境的な要因など様々な要因が複雑に関与していると考えられています。したがって、「CAKUTは遺伝します」と断言することはできません。

一方で、「CAKUTは遺伝子異常が原因になることもある」と報告されています。特に、腎臓以外に何らかの症状を伴う場合には、遺伝子異常を伴うことが多いと言われています。

もし、遺伝について心配がある場合には、遺伝を専門とする先生のお話を聞いてみるとよいかもしれません。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの新生児、検査、泌尿器、腎臓に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 中谷 諒

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