5歳児健診の案内が来たのだけれど「なんのためにするの?」「どんなことをするの?」そのような疑問にお答えします。
より多くの自治体で実施しやすくなりました
5歳児健診は、これまで一部の自治体で行われていました(※1)。しかし、出産後から就学前まで、切れ目なく健診が行われる体制を整えるために、2023年に5歳児健診に対して、国から自治体への公費の補助がおりることが決まりました(※1)。そのため、新たに5歳児健診のお知らせが届くようになる自治体もあるかと思いますが、その際はぜひ受けていただきたいと思います。
社会性の発達も確認します
自治体により若干の違いがありえますが、5歳児健診では、問診、身体計測、診察などで本人の成長発達を確認します(※2)。体や運動などの発達だけではなく、人とのかかわり方はどうか、集団生活を送るうえでの様子はどうかといった、社会性の発達も確認します(※3)。
具体的には、片足立ちができるか、四角が描けるか、じゃんけんやしりとりができるか、園や家庭での様子はどうかといったことをお伺いします。また質問は医師によってさまざまですが、通っている園の名前や組、好きなおかずの話などをお子さんに聞くこともあります。(※2,3,4)
必要な場合は、その後の健康的な成長発達に向けて支援を行います
健診後、必要に応じて医療機関を紹介したり、子育て相談、栄養相談、心理発達相談、療育相談、教育相談といった専門相談を行う場合があります(※1,3,4)。健診の直後だけではなく、長期的に、保健、医療、福祉、教育などの関係者が連携して支援を行うこともあります(※1,3,4)。
発達についてなんらかの特性が疑われる場合もあります。ただし大切なのは、その後、無理なく就学できるようにするなど、生活していくうえで、本人にとっての困りごとが少なくなるようにすることです。
メディアとの付き合い方を含めた基本的な生活習慣を身につけていくことも大切になります(※3)。
お子さん・ご家族が心身ともに健やかに、前向きに就学するための準備として、ぜひ5歳児健診を受けていただければ幸いです。
※1.こども家庭庁、第2回こども家庭審議会成育医療等分科会、乳幼児健診について、令和5年11月22日
※2.こども家庭庁成育局母子保健課、1か月児及び5歳児健康診査支援事業について、令和5年12月28日
※3.令和3年度~5年度こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業、5歳児健康診査マニュアル
※4.小枝達也、5歳児健診: 発達障害の診療・指導エッセンス、診断と治療社、2008年
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 堀田 敦子)