HPVワクチン(2)接種方法と気になる副反応を解説

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

「HPVワクチンを打とうと思うけど、どこでどうやって打つの?」という質問をたくさん頂きます。また、接種後の怖い症状を強調する情報も多く、不安を感じているご両親も多くいます。

この記事では、効果についてご紹介した「HPVワクチン(1)子宮頸がん予防だけじゃないその効果」に続き、実際の接種方法と気になる副反応について説明します。

HPVワクチンは12~16歳の女子が無料で接種できます

ヒトパピローマウイルス(HPV)の抗体をつけるのは「初めての性行為をする前」が1番効果的であり、日本では12~16歳の女の子全員が定期接種として、HPVワクチンの全3回を無料で接種できるようになっています(自費で接種する場合は1回1万6000円前後です)。

ちなみに、HPVワクチンは2価、4価、9価(日本未承認)の3つがありますが、それぞれ何種類のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染に効果があるかを表していて、数字が大きい方がより多くのヒトパピローマウイルス(HPV)の予防ができます。

〇サーバリックス(2価):初回、初回から1か月後、初回から6か月後に接種
〇ガーダシル(4価):初回、初回から2か月後、初回から6か月後に接種

HPVワクチンの接種には3つのステップが必要です。

1. お住まいの自治体に費用助成の方法を確認する(ウェブサイトに申込方法や接種施設が掲載されています)
2. 接種できる小児科、産婦人科、内科の施設へ電話して予約する
3. 接種する際に母子手帳を持参する

定期接種の場合は1→2→3の流れで接種します。
12~16歳以外の女性や男性が接種する場合は2→3の流れで打ちましょう。

なお、欧米では9価が主流で、日本では自費で接種できます。

ワクチン接種後に出る「痛みや発熱」の多くは
自然に改善します

ワクチンを受けたあとに出てくる症状を「副反応」といい「副作用」とは異なります。副反応は、体の中で新しい抗体を作り始めるために起こるものです。

副反応の中には、(接種した部分の)筋肉の痛みや発熱など嫌な症状がありますが、体の中に抗体が作られていくと、自然に無くなることがほとんどです。約20人に1人の確率で、接種後に数日間の発熱が出ると言われていますが、自然に治ります。

注射をした部分の痛みが少し続くことがありますが、自然に改善します

HPVワクチンは筋肉注射のため、皮下注射に比べて薬が早く体に吸収されると言われています。そのため、打つときと、打ったあとに筋肉の痛みが少し続く女性が多いです(インフルエンザワクチンは皮下注射です)。筋肉の痛みはその後に自然に改善して無くなりますので、大きな心配はいりません。

また、若い女性では注射を打ったあとに短時間気分が悪くなる「迷走神経反射」が起こりやすいと言われています。そのため、

・体調が良い日にワクチンを打つ
・ワクチンを打ったあとは、30分安静にする

ことが大切です。

HPVワクチン後の全身の痛み等の症状について研究が進んできました

以前、HPVワクチンを打った後の全身性の反応(全身の体の痛み等)がニュースで話題になりました。名古屋市がおこなった研究の分析結果が2018年に報告され、HPVワクチンを打っていない女の子にも、同じような症状が同程度の頻度で出ていることが分かりました。現在では全身性の反応は、HPVワクチンが原因と結びつけることはできず、思春期の女性に「(ワクチン接種時の痛みなどの)大きなストレス」がかかった時に起こる可能性が高いと考えられています。

 

HPVワクチンについてはぜひ「HPVワクチン(1)子宮頸がん予防だけじゃないその効果」も合わせてお読みください。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

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産婦人科医 柴田綾子

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