BCGワクチンってどれくらい効くの?~結核予防効果に関する解説~

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

現在、結核に有効な唯一のワクチンであるBCGワクチンは、日本では白い筒状の容器をスタンプのように腕に押して接種する方法が取られています。ここでは、BCGワクチンが結核に対してどのくらいの予防効果があるのかをお話ししていきます。

特に重症結核の予防が大事!

BCGワクチンを乳幼児期に接種すると、結核の発症(症状が出ること)を約50~70%程度予防できると言われています。

結核は感染する体の部位によっていくつか種類があります。その中で子どもにとって最も問題となるのが、「重症結核」と言われる「結核性髄膜炎」(脳や脊髄を包む膜の結核感染)や「粟粒結核」(ぞくりゅうけっかく、全身の結核感染)です。これら重症結核に対する予防効果を見てみると、接種する年齢により幅が出てきますが、約60~90%程度予防できるといわれています。

予防効果が続くのは10~15年

BCGワクチンを接種した後、一般的には約1か月後には免疫ができ、その後、概ね10~15年間予防効果があると言われています。

海外の研究では、予防効果が20年間継続していたという結果が出たり、特定の民族を調べた研究では50~60年間継続していたといった報告も出ています。

接種時期を守りましょう

BCGワクチンは世界的には出生後できるだけ早期に接種することが推奨されています。結核感染のリスクが非常に高いアフリカやアジアの多くの国では、結核を防ぐ、特に重症結核を防ぐという意味で、出生後すぐの接種が行われています。

日本では、結核感染のリスクだけでなく、先天性免疫不全の子どもに接種してしまうリスク(先天性免疫不全では重症副反応が起きてしまうことがあります)など様々な点を考慮し、現在は標準接種の期間が生後5~8か月未満と設定されています(法的には生後11か月まで接種可能)。

結核感染症を適切に予防するためにも、接種時期を必ず守って接種しましょう。

 

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの予防接種、感染症に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 小林さより

 

 

 

参考文献

(1)BCG vaccines: WHO position paper − February 2018 − .

(2)結核とBCGワクチンに関するQ&A.厚生労働省.

(3)Graham A. Colditz, Timothy F. Brewer, Catherine S. Berkey, Mary E. Wilson, Elisabeth Burdick, Harvey V. Fineberg, Frederick Mosteller. Efficacy of BCG vaccine in the prevention of Tuberculosis. Meta-analysis of the published literature. JAMA 1994; 271(9): 698-702.

(4)森亨.2021年改訂 BCG接種に関するQ&A集.公益財団法人結核予防会編.日本ビーシージー製造株式会社.

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