最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline
口の中の粘膜に、果物や野菜などの食物が接触することで、口の中がピリピリしたり、イガイガしたりする食物アレルギーを「口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome: OAS)」といいます。花粉のアレルギーが関わって、果物や野菜を食べた時に出てしまう食物アレルギー(PFAS)の症状としてよく見られますが、今回は症状が出た時の対応や注意することについてお伝えします。
口の中に違和感を感じたら、食べたものを口から出して口をすすぎましょう
食物を食べて口の中にピリピリ、イガイガといった違和感が起きた場合、飲み込まずに、口から食物を出し、口を水ですすぎましょう。すでに飲み込んでしまった食物を無理に吐き出す必要はありません。
その後は、息が苦しくなる、じんましんが出る、お腹が痛くなる、などの他の症状が出てこないか注意しましょう。
口の中の違和感だけであれば数分程度の短時間で治るため、薬を飲まなくて済むことが多いです。もし上記のような他の症状が出てきたら、手持ちの抗ヒスタミン薬などを飲んだり、医療機関の受診を検討しましょう。
花粉や他の果物・野菜にアレルギーがないか検査をすることがあります
血液検査(IgE抗体)や皮膚プリック検査で、
・症状の出た食物単独のアレルギーなのか
・花粉に関連したアレルギーなのか
・同じ仲間の果物や野菜にアレルギーはないか
などを調べることができます。例えば、リンゴで症状が出たら、リンゴだけのアレルギーなのか、リンゴと関連する花粉のシラカバのアレルギーなのか、リンゴと同じバラ科のモモやサクランボのアレルギーはないか、などです。
アレルギー専門医を受診し、それまでの症状の経験や花粉症の有無などもふまえて、検査の必要性や内容を相談しましょう。
PFASの詳細は「花粉症をきっかけに発症する食物アレルギー『花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)』」を参照してください。
症状が出た食物は食べないようにするのが基本です
OASであれば、原因の野菜や果物を加熱すれば症状が出ない場合もありますが、非加熱のものは、食べないようにする(除去する)のが基本です。
ごく軽い口の中の症状だけであれば、厳密に除去をせずに生活する場合もあります。ただし、花粉と関連したものであれば花、粉の飛散時期を過ぎた頃に症状が悪化することがあるので注意が必要です。
特に、豆乳(シラカバ、ハンノキ花粉症と関連)は、アナフィラキシーになることがあるので、OASの経験があれば飲まないようにするなど注意が必要です。
OASは見た目でわからない症状なので、お子さんの場合、上手に症状を訴えられないことがあるかもしれません。
大事なのは口の中の違和感だけで止まらず、見た目でわかる全身の症状が出てこないかどうかを観察することです。
判断が難しい場合は、アレルギー専門医に相談し、これまでの症状の内容と検査を組み合わせて診断をつけ、除去の必要性を検討しましょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。
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(小児科医 小笠原久子)