お子さんの吃音はありふれたもの。急かさずに最後までお話を聞いてあげましょう。

最終更新日: 2024年4月2日 by syounikaonline

お子さんが言葉を詰まらせたり、話すのに時間がかかってしまうことがあると思います。

そういう時には急かしたり、話し方を無理に治そうとせず、時間がかかっても最後までお話を聞いてあげることが大切です。

乳幼児期のお子さんの、約1割に吃音が見られます

「吃音(きつおん)」とは、発話の滑らかさやリズムが乱れている話し方のことを言います。

例えば、以下のような特徴(もしくは組み合わせ)がよく見られます。

  1. 繰り返す  「た、た、たまご」
  2. ひきのばす 「たーーーーまご」
  3. つまる   「・・・ったまご」

「えっと、うーんと」などの言葉が混ざったり、「ぼくはね、ぼくはね、」などの言い直しは、言葉の発達途中に自然と見られる様子ですので、吃音には当たりません。

このような吃音は乳幼児期のお子さんの1割弱に見られ、珍しいことではありません。

(ここでは幼児期から学童期に発症する「発達性吃音」(以下、ただ吃音と書きます)のお話をさせていただきます。)

乳幼児期の吃音のほとんどは、自然と見られなくなっていきます

こうした乳幼児期の吃音は多くの場合、小学校に入学する頃までに自然と見られなくなっていきますが、成人しても吃音のある方が約1%ほどいらっしゃいます。

吃音は体質(遺伝を含む)、発達(成長の途中であること)、環境(周囲との関係や生活上の出来事)の要因が複雑に関係して出現するとされています。

決して「育て方」や「性格」、「知的・運動発達の問題」から起こるものではないことが、科学的な検証からわかっています。

時間がかかっても、お子さんのお話を最後まで聞いてあげましょう

もしお子さんに吃音かな、と思われる話し方を見つけたら、まずは以下の点に気をつけて接してあげてください。

  1. 話すのに時間がかかっても待つ
  2. 話し方を無理に直さない
  3. 生活リズムを整え、ゆったりとしたものにする

実は、「落ち着いて」や「焦らないで」と口で伝えることはあまり意味がないとされています。
焦っているから吃音が出ているわけではないのに、むしろ緊張させてしまう場合があるからです。

お子さんが話し始めるのを待ってあげ、最後までしっかり聞いて、内容がちゃんと伝わったという成功体験をさせてあげてください。

話すことをためらわない環境作りが重要です

吃音を周りの人にからかわれたり、指摘されることがあるかもしれません。あなたも ”どもる” といった言葉で、知らないうちに吃音の人を傷つけているかもしれません。

お子さんが小さいうちは、親御さんが周囲の理解を得て、急かさずに話を聞いてもらえる環境作りをしてあげてください。

とくに小学校に入る頃まで続いてる場合には、自分の吃音に気づき、ストレスを感じるお子さんも出てきます。

吃音を個性として受け入れ、困った時の対処法を前もって準備しておくことが重要になってきます。難しいと感じることがあれば、遠慮なく専門家に手伝ってもらいましょう。

 

専門家による支援が役立つことがあります

就学の頃まで吃音が続いていたり、意思の伝達が難しい時、また学童期以降に出現した吃音の場合には、かかりつけの小児科や耳鼻科、近隣の保健センターもしくは療育センター、または小学校に設置されている “ことばの教室” などに相談してみてください。

必要に応じて、医師の診察を受けたり、言葉のリハビリの専門家である言語聴覚士の先生の支援を受けられる場合があります。

吃音は決して恥ずかしいことではありません。

話すことへの積極性が損なわれないようにしてあげてくださいね。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからも、お子さんの発達について情報を発信していきます。

(小児科医 山田真平

参考文献
吃音ポータルサイト
国立障害者リハビリテーションセンター研究所、吃音について
Hector R. Perez and James H. Stoeckle Canadian Family Physician June 2016, 62 (6) 479-484; Stuttering-Clinical and research update

SNSでシェア