子どもの背が急に伸びたら気にしてみて~もともと背の低いお子さんは特に注意~

最終更新日: 2024年2月15日 by syounikaonline

お子さんの背が低いことを心配している親御さんにとって、お子さんの身長が伸びるととてもうれしいですよね。

でも、もともと身長が低めのお子さんの背がぐっと伸びたとき、少し気にして頂きたいことがあります。

時に、大人になったときの最終身長が低くなってしまうことがあるからです。

背がぐっと伸びるときは、お子さんの二次性徴の時期(思春期)です

二次性徴とは、子どもの体が大人の体に変わる変化のことです。男女とも、この二次性徴の始まりとともに一気に身長が伸び、二次性徴が完了すると身長が伸びにくくなり、そのうち背が止まり最終身長となります。

男の子の二次性徴は、精巣・陰茎・陰嚢が大きくなる→陰毛が生える→腋毛(わき毛)が生えたり声変わりが起こる、というような順番で進みます。

女の子は、胸が大きくなる→陰毛や腋毛が生える→生理がくる、と進みます。

お子さんの身長がぐっと伸びたら、二次性徴が早くないか気にしましょう

二次性徴が早く始まったお子さんは、同級生の身長をどんどん抜いていきます。しかし、背が止まってしまう時期も早く、最終身長は低くなりがちです。

この二次性徴の時期に、男の子は約30cm、女の子は約25cm伸びて最終身長となると言われています。(1)

日本人の平均では、男の子に陰毛が生えるのは12歳半ごろと言われています。女の子は10歳くらいで胸が大きくなり始め、小学校高学年で背がぐっと伸びてきます。(2)

しかし、男の子で小学校4年生以下で陰毛が生えてきた場合や、女の子で小学校低学年ではっきりと胸が出てきた時には注意が必要です。このように二次性徴が早い場合、思春期早発症に当てはまることがあります。そして、二次性徴の進み具合や身長の程度によっては、最終身長が低身長にならないように治療をすることもあります。

くわしくは、以下の記事も参考にしてください。

この年齢で思春期?ー早く思春期がきたときに考えるべきこと – 小児科オンラインジャーナル

もしも最終身長が低くならないように治療をする場合には、二次性徴が始まってから早い時期に治療を開始する必要があります。男の子では声変わりの前に、女の子では生理が来る前に治療を開始するほうが効果があります。(場合によっては声変わりや生理がきてから治療をすることもあります)

お子さんの背が今までの成長曲線をはずれてぐっと伸びたら、かかりつけ医に相談してみましょう

身長の伸びは、食事や運動、環境によっても変化しますが、だいたい3歳を過ぎてから二次性徴が始まるまでは、数年間で成長曲線が一つ変わるくらいの変化が一般的です。(例えば、今まで平均の線に沿ってたけど、最近+1SDの線にのってきたなど)

成長曲線をみて、そういえば半年前の身長と今回の身長を結ぶと線が急上昇しているな、と思ったときは、二次性徴が始まったか、他の病気が隠れていることもあります。

中学生の男の子、小学校高学年の女の子であれば、身長の線が急上昇していてもおおむね成長曲線にそっているはずです。その場合には心配はいりません。しかし、「友達の身長をどんどん抜いていくな」、「周りにくらべて思春期が早いな」、と思った時の成長曲線は、今まで沿ってきた線と明らかに外れていると思います。そういった時には、一度かかりつけの先生に相談することをお勧めします。

<参考文献>

(1)横谷 進ほか, 専門医による新小児内分泌疾患の治療 改訂第2版, 診断と治療社, 2016年 

(2)小児内分泌学 改訂第3版, 日本小児内分泌学会, 診断と治療社, 2022年

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの成長・発達に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 濱嶋恵美

SNSでシェア