精巣がまだ降りていないと言われたら〜停留精巣と移動性精巣、治療のタイミング〜

男の子の健診の時に「玉(精巣)がまだ降りていませんね」「玉が触れませんね」と指摘を受けることがあります。

「様子を見てね、と言われたけれど、それはいつまで?」「将来的に大丈夫?」と気になりますよね。

今回は停留精巣(ていりゅうせいそう)と移動性精巣(いどうせいせいそう)についてお話しします。

精巣が陰嚢内に触れない場合は「停留精巣」または「移動性精巣」が考えられます

精巣は、お母さんのお腹の中にいる間にお腹の上の方から陰嚢に向かって降りてきます。生まれる時には陰嚢まで降りてくるのですが、まだ降りていないお子さんもいます(5%前後)。これが停留精巣です(図:左)。

また、精巣が陰嚢までちゃんと降りてきているけれど、固定が不十分で正常な位置から上の方に動きやすい状態になっているお子さんもいます。これは移動性精巣と言われます(図:右)。
この場合、診察するタイミングによっては、精巣が上の方に移動していて陰嚢内に触れないことがあります。

つまり、精巣が陰嚢内に触れない場合は、「停留精巣」または「上に移動したタイミングの移動性精巣」が考えられます。

常に陰嚢内に触れないのが停留精巣、ときどき触れたり触れなかったりするのが移動性精巣です

停留精巣と移動性精巣の区別は難しいことも多く、繰り返しの診察が必要になることもあります。その際、「お家でときどき触ってみてね」と指導されることがあります。

これは、精巣が触った刺激や寒さ、怖い思いをしたときや楽しくて笑っているときなどに上の方に移動しやすいためです。ご自宅でリラックスしているとき(お風呂に入っているときや眠っているとき)に陰嚢内に精巣を触れるかどうかも診断の大事なポイントになります。

診察の時もご自宅での確認の時も、常に精巣が触れない場合は停留精巣、診察の時は触れないけれど自宅では触れる場合は移動性精巣の可能性が高くなります。

停留精巣は2歳になるまでに手術を受けることが推奨されています

停留精巣の治療は、陰嚢内に精巣を固定することです(精巣固定術)。では、手術のタイミングはいつが良いのでしょうか。
生後6ヶ月までは精巣が自然に降りてくる可能性がありますが、1歳を過ぎるとその可能性が低くなります。また、放置するとお子さんが将来子どもを作る能力(妊孕性:にんようせい)が低下するため、1歳から2歳になるまでに手術を受けることが望ましいとされています。

一方、移動性精巣の場合は手術が必要となることはあまりありません。しかし、上がってしまう程度が強い場合は、停留精巣と同様に手術が必要になることもあります。

お子さんの精巣の様子はいかがでしょうか。リラックスしているタイミングで精巣の位置を確認してみてください。1歳を過ぎても触れない場合はかかりつけ医に相談しましょう。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからも、泌尿器を含めたお子さんの体の疑問について、解決の一助となる情報を発信していきます。

(小児科医 知花愛里