家族全員で肥満対策に挑戦を!(筆者もやります!)

世界的に肥満人口は増えており、日本でも食の欧米化にともない、小児の肥満児が増えています。
最近では、学童期の10人に1人が肥満といわれています。

肥満には、栄養過多などによる「単純性肥満」と、なんらかの疾患により続発して肥満が生じる「二次性肥満」があります。
この記事では最も多い「単純性肥満」を想定してお話をすすめていきたいと思います。

年長以降の肥満は、成人に移行してしまいます

学校健診で肥満を指摘されやすい学童を例にすると、9歳2ヶ月の男児であれば標準体型が身長132cm、体重30kgです。
36kgあると軽度肥満、39kgで中等度肥満、45kgで高度肥満と判断されます。

成人の肥満は糖尿病、脂質異常症、高血圧、肝機能異常などの合併症を伴い、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めることで知られています。

子どもであっても、同様の反応が身体内部で進行します。
年長以降の肥満は成人における肥満に移行しやすいといわれており、身長が伸びている間はなんとか体型のバランスをとれることがあるのですが、生活習慣が是正されていない状態で身長の成長速度が遅くなってくると、肥満が定着し、元に戻すことが大変難しくなります。

自分でお金を持つようになると外食が多くなりますので、小児期、特に中学校に入る前までの肥満治療開始が重要です。

肥満は脂肪性肝炎を発症することがあります

肥満のお子さんは、血液検査で肝逸脱酵素(かんいつだつこうそ)の上昇を指摘されることが多いです。

その原因が肥満による脂肪性肝炎だけなのか、他になんらかの肝臓の病気もあるのか判断することは小児科医にとって非常に困難です。

専門の施設では、肝臓の一部を直接採取して調べる、身体に負担の大きい検査を行うこともあります。

食事療法は家族みんなでおこなう必要があります

体重をしっかり落としてみて肝逸脱酵素の値が基準内になるのかどうかを確認するためにも、しっかりと栄養指導を受けたうえで食事管理をおこなう必要があります。

お子さんに対して、家族があまやかす人と厳しくする人、または我関せずの人などに分かれてしまうと、治療効果が出にくいです。家族みんなでお子さんのために取り組む必要があります。お父さんの晩酌も無しにするくらいの覚悟が必要です。

外来でお子さんの食事状況を聞くと、ご家族から「カロリーをどれくらいとっているかはわかりませんが、あまりおかわりもしないし食べないほうです」という言葉をよく聞きます。
しかし残念ながら、栄養士の先生に1日摂取カロリーを算出してもらうと、3000kcalオーバーの方々が多くいます。食事の写真をとってきてもらうと、唐揚げなど茶色系の食べ物ばかりといったこともあります。
お子さんの生活が親御さんの管理下にあるうちは、やはり体重が増えすぎる原因は本人だけの問題ではないので、家族みんなで認識を少しずつ変えていく必要があります。

なお体重測定は夜行わず、朝の歯磨きと一緒におこなうようにし、その日一日の行動を変えるきっかけとしてください。

食事は食卓に大皿で出すのではなく個別に提供し、食事量は身体がエネルギーを消費しやすいように傾斜をかけて朝→昼→夕の順番で徐々に少なめにしていきます。
よく噛むという行為ができるよう繊維質の多い食材を食事のはじめのほうに提供するようにし、後の方にお子さんの好きな食材を出すようにしましょう。

冷蔵庫を含め目の届く範囲に菓子類は置かないようにし、間食を親御さんもしないし、お子さんにもさせないようにします。

食事だけでなく運動療法もご家族で取り組んでください

もちろん食事だけでは絶対にうまくいかないので、運動も積極的におこなう必要があります。

成人同様の体格のお子さんであれば、身体に蓄積した脂肪を1kg燃焼させるには毎日約200kcalを減らす必要があるといわれています。
これは間食でポテトチップスを食べている場合は、およそ半袋分です。ウォーキングであれば15分で40kcal相当の消費になります。間食をやめてウォーキングを15分毎日おこなうと数ヶ月で脂肪蓄積が1kg減る計算になります。

特に小児では、筋肉量が増すと、もともと代謝が良いので、さらに効率よくエネルギー消費をおこなうことができると言われています。

少し体重が減り運動の習慣がついてきて、足腰への負担もある程度減ってから、縄跳びやかけっこなど運動強度をあげると良いかと思われます。

たった数キロ体重を落としただけで、肝臓の数値が完全に基準内になるお子さんは非常に多いです。ぜひ家族みんなで取り組んでみてください。

 

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ直接ご相談ください。

小児科オンラインはこれからもお子さんの体重や成長に関する疑問を解決するために情報を発信していきます。

(小児科医 塩畑健

 

参考文献

岡田知雄.子どもの肥満症Q&A – 子どもの肥満症に対する正しい理解と対応法の普及を目指して -. 小児保健研究. 2021, 80(6): 695-700.